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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 私達は向かい合わせで席に座った。
 人数が人数なんで席が二列つながりになると合コンみたいな自己紹介となった。
「魔法少女(魔術師)のアルネっス〜っ!」
「格闘士ルキノ」
「神官ローネです」
「暗殺者テリオよ」
 それぞれが自分達のジョブと名前を言うと私達も言って返そうとした。
「私は……」
「あ、知ってるっス、ズバリあか……」
「わぁぁああぁぁーーーっ!!」
 狙ってた様にお姉ちゃんが叫んだ。
 すると他のメンバーが言って来た。
「このバカ! ネットの中だぞ!」
「アルネちゃん、個人情報流出は犯罪よ」
「うええっ? じゃあクサイ飯食わなきゃいけないっスか?」
「未成年は罪には問われ無いけど、相手に迷惑がかかるのは事実だな」
「そ、それは不味いっス! 今のは無しでお願いっス!」
「だ、大丈夫よ、途中までだったし、フルネームじゃないし……」
 私は苦笑する。
 お姉ちゃんは付き合いが長い分アルネちゃんの事を理解している、その為に瞬時にフォローに回る事ができる。
 つまりこの人が私の言ってた幼馴染なんだけど…… 時々こんな風にドジを踏む事はある、でも悪い人じゃないのは分かってるから私もお姉ちゃんもこれ以上何も言わなかった。
 すると今度はレミが言って来た。
「貴女達、ずっとパーティ組んでるの?」
「そうですよ。ただ事情があってあまりプレイして無いんですけど……」
 ローネさんが苦笑しながら言って来た。
 皆家庭の事情や個人の理由であまりゲームが出来なかったらしい、それでも割にあったクエストをこなしてレベルを上げてエキスパート・ランクまで来れたと言う。
 するとお姉ちゃんが言って来た。
「全部ローネのおかげなんですよ、クエストや報酬や強化素材なんかも全部調べてくれるんですよ」
「そりゃすごいわね」
「大した事はしてませんよ、何時もやってる事ですし……」
 ローネさんは謙遜する。
 ローネさんは何でも現実世界では部活のマネージャーも任されていて、選手1人1人に似合った特訓のスケジュールや健康管理も行ってくれていると言う。
 今日もプレイするべきクエストを検討してくれたと言う。
「あ、そうそう、今配信中のクエストを考えて来たわ、今の私達は装備は申し分ないんだけど…… 今後の事を考えてレベルとお金を貯めておいた方がいいと思うの」
「そうね、確かに金は溜めて置いて問題は無いわ、まず家族が病気や事故にあった時の治療費でしょ、それに養育費や給食費に、就活の為にスーツ買わなきゃいけないし……」
「テリオ、ここはゲームの世界だ。現実の事は少しでいいから忘れないか?」
 真面目な顔をして広げた右手の指を1つづつ折り曲げて行くテリオさんにルキノさんが言った。
 この人相当お金に困ってるのかな? だったらゲームしてる場合じゃないと思うんだけど……
 そんな事を考えているとお姉ちゃんが言って来た。
「あ、そうだ。コロナ達はどうする? まだ続けるんでしょ? なら一緒にプレイしない?」
「えっ? ああ、私達は……」
 私達は目を泳がせた。
 私は…… と言うよりお姉ちゃん達もテストのはずだ。
 ただお姉ちゃんは元々成績良いし、去年の暮れに皆でテスト勉強してたから問題ないだろう、でも生憎私は普通の人間だ。これから勉強しなきゃいけない……
 そんな事を考えているとエミルが1番に手を上げた。
「はいは〜い! アタシ、お姉さん達と一緒にやりたいで〜す!」
「エ、エミル?」
「私も構わないわよ」
「私も」
 レミ、センリも言う。
 エミルはテスト諦めてるんだろうし、大学がどう言うところか分からないけど、それなりに単位を取ってるんだろう。
「コロナはどうする?」
「えっ? いや、だって私達来週テストがあるでしょう?」
「大丈夫よ、お姉ちゃんが勉強教えてあげるから〜、一緒に行きましょうよ〜」
 お姉ちゃんは身を乗り出すと両手の指を互いの関節に入れて折り曲げると祈る様に涙を流しながら言って来た。
「コロナァ〜、お願いぃ〜〜っ!」
「良い年こいて泣くな!」
 私は一喝する。
 するとエミルとアルネちゃんが言って来た。
「コロナ、お姉さん泣いてるじゃん、可哀想だよ!」
「そうっス、そうっス! 勉強なんて一夜漬けで何とかなるっスよ!」
「いや、お前は気にした方が良いぞ」
 ルキノさんはアルネちゃんに言った。
 って言うか何故か私が悪者になってた。
 エミルだってお兄さんにプロレス技かけて気絶させた事があるって言ってたクセに……
 するとローネさんとテリオさんが言って来た。
「えっと、コロナちゃん…… だっけ? 勉強って言うのは根をつめてやるよりも肩の力を抜いた方が効率が良いのよ」
「何ならお姉ちゃんに教えて貰えば良いんじゃない? 教え方上手いわよ」
 2人はお姉ちゃんを信じてる。
 そりゃお姉ちゃんは嫌いじゃ無い…… むしろ好きだし尊敬している、ただできれば頼りたく無かった。
 アルネちゃんは知ってるけど、お姉ちゃんは実は凄くだらし無かった。
 だらし無い事は皆だって知ってると思う、ただ文武両道で品行方正なお姉ちゃんにだって苦手な物は有る、それは掃除と洗濯だった。
 お姉ちゃんの部屋は腐海の森と言うか夢の島と言うか…… あの汚部屋には私だって入りたく無かった。
 洗濯だってそうだ。何でもかんでも洗濯機にぶち込むものだからセーターが縮んだり、色が着いたりと大変だった。
 お姉ちゃんの本当の姿を見せたら…… 嫌いになったり絶交したりはしないだろうけど、呆れて見る目は変わるのは間違い無い。
 しかし多数決には従わざるおえなかった。でもそれとは別にお姉ちゃん達の冒険をしてるのか興味もあった。