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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 私達が手に入れた新しい武器は想像以上だった。
 今まで苦戦していたモンスター達も難なく倒し、私達はエキスパート・ランクのランク5までやって来た。
 私達は街に戻っ来るとプレイヤーズ・バーで話をしていた。
「凄いわね、私達の武器」
「ホントホント〜、アタシ達無敵〜っ!」
 レミもエミルもすっかり有頂天だった。
 あまり天狗になるのもいけないけど、やっぱり上手く行くのは良い事だ。
「……そう言えば、来てるのよね」
「何か言った?」
 私の独り言にセンリが尋ねて来た。
「え? ああ、お姉ちゃんの事…… エキスパート・ランクに来てるって聞いたから」
 私は言った。
 今も隣でプレイしているはずだ。
 食事を終えたらとっとと部屋に戻った。
「友達とプレイしてるんでしょ? どんな人達なの?」
「どんなって……」
 エミルの問いに私は首を傾げた。
 そう言われても何て言って良いか分からなかった。
 何しろお姉ちゃんのパーティの内1人は時々会ってるんだけど、残りの3人はほとんど会った事が無いからだ。
 その3人もお姉ちゃんは部活の仲の良い友達らしく、去年の文化祭の時と年末の期末テストで勉強会で家に来た時に顔を見たくらいだった。
 文化祭の時は正直驚いた。お姉ちゃんの教室に言った時、お姉ちゃんもクラス中の人も皆戦士や魔法使いの格好をしていたからだ。
 今思えばこのオンライン・キングダムからヒントを得たんだろう、お姉ちゃんのコスが自分のアバターとソックリだった。
「現実世界でもコスプレしてたの?」
「って言うか友達の提案だったらしいの、でも集客数と売上は全校で3位、学年で1位になったって言ってたよ…… メイド喫茶とかは他がやるだろうからって」
「中々商才あんじゃないその人、商売に必要なのは意外性と度胸よ」
「古人曰く、『得たり賢し』」
 別にお店開く訳じゃないでしょうに……
 センリの諺は望んでいた事が上手く言った時に言う言葉で、その人も企画が上手く行って嬉しかったらしい…… ただお姉ちゃんが言うにはその人は少し捻くれてるらしく、かなり照れていたらしい。
 
 時計を見ると時間は10時になろうとしていた。
 少し早いけど私は上がる事にした。何しろもうすぐ中間テストが始まるからだ。
「さてと、私はもう上がるね…… そう言えばエミルはどうするの? エミルもテスト近いんでしょ?」
 私は言った。
 以前赤点取りまくってお母さんからゲーム禁止を言い渡された事があった。
 期末テストは何とか赤点2つで済んだ(他はギリギリだったらしい)みたいだけど、それでもお母さんに怒られたらしい。
 するとエミルが顔を顰めながら口を尖らせて言って来た。
「嫌な事思い出させないでよ、ここには試験も何にも無いんだから〜」
 どこかの妖怪アニメのОPみたいな事を言いだした。
「でも勉強はした方が良いんじゃない? 将来なりたい事とか無いの?」
「別に〜、特撮とゲームがあればそれで良いし〜」
 ダメ人間だ。
 こうやってニートとか増えて行くんだろうなぁ……
 すると今度はエミルがテーブルを叩きながら立ち上がって聞いて来た。
「って言うかさ、何でアタシの事ばっか聞くの? 皆はやりたい事ある訳?」
 私は口ごもった。
 私も言われてみればやりたい事なんて無い、って言うか本格的に何かに取り組んだ事なんて無かった。
 殆ど流されてるみたいに生きていたからなぁ、私もエミルと殆ど変らなかった。
 それはレミもセンリも同じらしい、その様子を見たエミルは一間置くと指を差しながら言って来た。
「何さ! 自分達だって目標無いじゃん、別に勉強なんてやんなくても将来関係無いんだし、人の事どうこう言わないでよ!」
「そうね、学生だからって勉強が全てじゃないわよね」
「あはっ、お姉さん良い事言…… って!」
「お姉ちゃんっ!?」
「こんばんは〜」
 いつの間にかエミルの隣に座っていたお姉ちゃんがにっこり笑いながら右手を上げた。
 髪と瞳の色が青いだけで私と瓜2つ、コロナの青バージョンとも言うべきこのアバターこそが私の姉『ルナ』だった。