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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 センリの作戦で私はスカル・ドラゴンに攻撃する。
 まず最初に出るのは私だ。
 私はファイア・ソードを構えて技コマンドをクリックする。
「ソニック・カッターっ!」
 炎の斬撃が飛ぶ。
 スカル・ドラゴンに当たるが効いていない、だがこれで良かった。
 次はエミルの番だった。
「スキル発動!」
 エミルの姿が消えて無くなると瞬時にスカル・ドラゴンの後ろに回った。
 今使ったのはバック・スキルと言って、相手の瞬時に回り込む事で確実に攻撃をヒットさせるスキルだった。
 エミルは技コマンドをクリックして空高く飛びあがると、一度スカル・ドラゴンの頭上を飛び越え、右足を垂直に振り上げた。
「エミル・ヒールハンマーっ!」
 エミルの渾身の踵落としが脳天に炸裂する。
『ガギャアッ!』
 スカル・ドラゴンは一直線に地面に落下して激突、土煙を上げた。
 そこへすかさずセンリが呪文を唱えた。
「グラビティ・バインドっ!」
 途端スカル・ドラゴンの頭蓋の下に魔法陣が現れると大地の鎖が現れて雁字搦めにした。
 これでもう動く事が出来ない。
「レミっ!」
 センリが叫ぶ。
 直ぐ後ろにいたレミは動けないスカル・ドラゴン目がけて突進する。
 そして間合いを詰めると左手を広げてスカル・ドラゴンに付きつけて魔法を唱えた。
「ハイ・ヒールっ!」
 勿論今回使ったのも回復魔法だった。
 今度は特大の魔法陣が頭上に出来あがると光のシャワーとなって降り注いだ。
『ギャアアアア―――ッ!』
 スカル・ドラゴンは悲鳴を上げた。
 束縛を解こうともがき苦しむが、センリの魔法の鎖はビクともしなかった。
 それどころか黒いオーラが次第に消えて行き、最終的にスカル・ドラゴンの瞳から光が消えると頭蓋が粉々になって消し飛んだ。
「ハッ! なめんじゃないわよ」
 レミは右手首にホーリー・メイスを握ったままスナップを効かせて振りまわすと右肩に乗せて白い歯を見せて笑った。
 完全勝利、これに素材集めクエスト終了だった。
 
 私達の道具コマンドに新たに『竜化石』と『竜火石』と言う2つの素材が加わった。
 本来黄鋼鉄は加熱すると有毒ガスが出るので製鉄には向かないんだけど、これはゲームだしファンタジーなので細かい事は言いっこ無しだ。
 とにかく全ての素材を手に入れた私達は錬金工房へ向かった。
 その途中私は言った。
「やっと全部集まったね」
「これで本格的にクエストに戻れるわね」
「アタシは結構好きだったな〜」
 エミルは言った。
 子供は物を集めるのが好きだからな、私が中学時代に知り合った文芸部の友達がそう言った小説を書いていたのを覚えている。
 その子はゲームじゃないけど、友達と一緒に『冒険』をして色々な『宝物』を集めていたと言う。
 どんな人にも仲間や冒険がある、十人十色の物語りがある。
 するとその時、私はある事が頭に浮かんだ。
「そう言えば…… 何してるのかな?」
 私は首を呟いた。
 人それぞれと言えば、その人も隣でプレイしてるはずだからだ。
 かつて夏のクエストに一緒に参加した人の1人、でもその人だけはしょっちゅう顔を合わせていた。