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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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「コロナっ!」
 レミが叫ぶ。
 私が立ちあがるとエミルとセンリも集まった。
 今度は本格的にスカル・ドラゴンのターンとなった。
 スカル・ドラゴンは歯を軋ませると大きく口を開いた。
『ガァアアアッ!』
 途端スカル・ドラゴンの牙がマシンガンの様に飛び出して私達を襲った。
 するとレミが前に出ると右手を広げて防御魔法を唱えた。
「フル・ウォールッ!」
 レミの足元に金色の魔法陣が浮かび上るとさらに大きくなって私達の足元まで広がった。
 サークルから光の壁がせり上がると私達を包み込んだ。
 スカル・ドラゴンの牙は光の壁に当たると大きな音を立てながら爆発した。
 神官職は攻撃魔法をあまり覚えられないけどレベルが上がれば回復魔法の回復量は上がる、でも攻撃・防御・速度の強化魔法はかけられる側のステータス次第になる。
 でもレミも私達も今用意できる最高の装備をしている、勿論防御面にだって気を配っている、でもそれは相手の攻撃力がこちらの防御力を上回って無ければの話しだ。
 スカル・ドラゴンの攻撃を何発も何発も受け続けていると魔法障壁に亀裂が入った。たちまち粉々に砕け散ると牙のマシンガンをモロに食らい、私達は爆煙に包まれた。
「きゃああっ!」
「うああっ!」
「ぐっ!」
「うくっ!」
 私達は爆煙の中から吹き飛ばされると地面に転がった。
 今の攻撃で大分HPが削られた。
 相手のは魔法攻撃でも無けりゃ物理攻撃でも無い、言わば私やエミルみたいな武器に属性を合わせた様な攻撃だった。
 スカル・ドラゴンその物はアンデットだから闇属性、でも体が化石だから攻撃自体は土属性となる、それに炎属性がプラスされている為に攻撃力はさらに上がっていると見て良いだろう。
 一方攻撃を辞めたスカル・ドラゴンの口からは新しい牙が生えた。
「羨ましい〜、アタシなんて今虫歯で奥歯痛いのに!」
「エミル、歯医者さんに行きなよ」
 忌々しそうに顔を顰めるエミルに私は言った。
 するとレミが舌打ちをしながら言って来た。
「この骸骨野郎、どうやって倒せばいいのよ?」
「レミ、相手はアンデットだからレミの力が友好」
「え? ああ、なるほどね」
 レミはホーリー・メイスを肩にかけながら言って来た。
 でも1つ不安な事があった。
 それはエミルが攻撃した時爆発した事だ。
「こっちから攻撃したら爆発しちゃうよ?」
「大丈夫、多分あのドラゴンの体の性質だと思う」
「どう言う事よ?」
「以前ネットで金色のアンモナイトの化石を見た事あるけど、あれは純金じゃなく黄鋼鉄だって言ってた」
「オーコーテツ?」
「黄鋼鉄、簡単に言うと火打石よ」
 周囲に『?』マークが浮かびまくって首を傾げたエミルに私は説明した。
 そもそも化石とは死んだ生物が砂や土に埋もれた後、地下水や堆積物により鉱物となった物の事を言う。
 黄鋼鉄は硫黄と鉄の化合物で、別名パイライトと言われている、頭文字の『パイ』とは『火』を意味しているらしく、昔は火打石の材料として使われ、さらに金運アップ、仕事の危険回避、気力や勇気を与えてくれると言う言い伝えがある。
 ちなみに火打石はあくまで火花を出すだけであって殴っても爆発しないのであしからず、これはゲームだけの設定だ。
「あれ黄鋼鉄って言うの、家に実際あるけど初めて知ったわ」
「レミ、火打石持ってたの?」
「私じゃ無くて親父の物よ、母さんが切り火に使うのよ」
「切り火?」
「時代劇でやってるでしょ、奥さんが旦那さんを見送る時に火打石合わせて火花を散らすって奴……」
「アタシ時代劇見ないし〜、大体年寄りじゃ無いし〜」
 エミルは両手を挙げた。
「〜〜〜……」
 レミは顔を眉をヒクつかせながら左手で握り拳を作った。
 するとそこをセンリが止めた。
「エミル、それは偏見…… そしてレミ、好きな番組は人それぞれ」
「あはは……」
 私は苦笑した。
 でもセンリの言う通りだ。確かに若くても時代劇見てる人は沢山いる。
 実際私達の知り合いのプレイヤーの1人に帰国子女に時代劇で日本語覚えたって人がいる。
 実は私達には時々だけど一緒にプレイする他の仲間もいる、皆個性的だけどとても良い人達だ。
 皆と最後に会ったのは夏に行われた特別クエスト以来だけど、あれ以来会って無いけど、今はどうしてる事やら……