ねとげ~たいむ・エキスパート!!
でもやってしまったのは仕方がない、問題はこれからどうするかだ。
片方は炎のモンスター、片方は冷気のモンスター、そのお互いの弱点の属性は分かってる。
ただこちらがボス達をいくら攻撃しても手下達の援護で回復する……、反対に手下達を先に倒しても再び補充されるし、ボス達をほおって置く事は出来なかった。
サリアさんでもいれば雑魚モンスターをおびき寄せられるんだろうけど、生憎この場にサリアさんはいないし、モンスターをおびき寄せる魔法もスキルも持っていなかった。
雑魚ならセンリの魔法があるけど、片方だけしかどうにもならない、何しろセンリは連発できないからだ。
刻一刻と制限時間が迫る、時計を見ると残り10分を切っていた。
するとお姉ちゃんが言って来た。
「こうなったら1つしかないわ」
「お姉ちゃん?」
私はお姉ちゃん見る。
もしかして何かしらの打倒策が考えられたんだろうか?
お姉ちゃんはこう見えて成績優秀(ゲームに成績は関係ない)だし、大学生のセンリほどでは無いにしろ良い案が浮かんでもおかしくない。
するとセンリが訪ねる。
「1つって? 何かあるの?」
「もちろん、とってもシンプルですよ」
その問いにお姉ちゃんは胸を張って言い返した。
その答えにこの場にいる者達全てが固まった。
お姉ちゃんの出した作戦、それはボス2匹を同時に討伐する事だった。
攻撃しても配下のモンスター達が回復してくるなら、その回復を上回るダメージを与えて倒すと言う…… 早い話が力づくだった。
マジでシンプルだった。
そう言えばお姉ちゃんはどちらかと言うと体育会系、しかも面倒な事が嫌いだと言う事をすっかり忘れていた。
そしてここ最近私達も力づくで倒すと言うのを忘れていた。
いくらお姉ちゃんでも2匹同時はきつい、と言う事私も手伝う事になった。
今回は私も攻撃に徹すると言う事になった。
私は装備コマンドを開いてフリーズ・ソードをお姉ちゃんに渡し、お姉ちゃんも装備コマンドを開くとレイジング・ソードを貸してくれた。
私の装備は右左共にレイジング・ソード、お姉ちゃんの装備は右左共にフリーズ・ソードになると互いのターゲットの前に立った。
「そう言えば…… 2人で協力プレイってこれが初めてじゃない?」
「そう言えばそうね」
私は言った。
お姉ちゃんと2人きりで戦うのは今回が初めてだった。
数ヶ月前にアルネちゃん達と一緒にプレイしたきりで、お姉ちゃんと直接戦うのはこれが初めてだった。
時間はかかったけど、やっとお姉ちゃんと遊べる日が来たって事になる、少し嬉しかった。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki