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ねとげ~たいむ・エキスパート!!

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 エミル1人ならともかく、お姉ちゃんがいるなら心配無かった。
 お姉ちゃん達の方も優勢で、何の問題も無かった。
 だけど今までの経験上、何が起こるか分からないのがクエストだった。このモンスター達の能力が炎の衣と氷の鎧だけで終わるとは思えなかった。
 そして私の予想は当たった。
『グオオオオォォ―――ッ!!!』
『ギェエエエェェ―――ッ!!!』
 ディアボロスとディスマリンは大きな雄叫びを上げた。
 すると自分の派閥のモンスター達が自分のボスの方を振り向くと、それに共鳴するかのように雄叫びを上げた。
 途端赤いモンスター達は大きく避けた口から炎を吐き出し、青いモンスター達も口や触手の先端から冷気を噴き出した。
 赤いモンスターの放った炎はディアボロスを包み込むと再び炎の衣となった。
 ディスマリンの方も青いモンスター達の冷気が集まると体中に纏わりついて氷の鎧となった。
 どうやら今回はボスさえ倒せば他はどうでも良いって訳じゃ無いみたいだった。
 ボスがピンチの時はモンスター達が助けるみたいだった。
「上下関係は意外とホワイトなのね」
 レミは言う。
 現実の人間達に見せてやりたい光景だった。
 現実世界には『ブラック企業』と言うのが存在している。
 そこは仕事の量が半端じゃない、定時に帰れない、残業代も出ない、休日出勤当たり前、挙句の果て一度入社したら退職させて貰えないと言う最悪な職場だ。
 一応厚生省が定めた労働者の為の法律『労働基準法』と言う物が存在する、でも彼らはそんな物は完全に無視している。
 人間を人間とも思わない、社員を家畜同然の『社畜』としてしか扱わない彼らの元では絶対働きたくなかった。
 働くならやっぱり残業が無い、週休完全2日で福利厚生のしっかりした職場が良い、誰だったそっちの方が良いはずだ。
 できれば永久就職の方が良いけど、残念ながら私もレミ達もそんな人いなかった。
「お〜い」
 すると手を振りながらエミルとお姉ちゃんがやって来た。
 状況が変わったから一旦話し合いに来たんだろう、私達も攻撃を中断してこれからどうするかを話し合う事にした。
 幸いこのゲームはこちらから攻撃しなければ動く事はない、制限時間はある物の、それを除けば話し合いし放題だ。
「いっそどちらかのボスを徹底的に叩くってのは? 片方だけでも消えれば楽じゃない?」
「でも残った片方が何もして来ないって保証はないよ、手下も絶対攻撃してくる」
「古人曰く『敵の敵は味方』……、にはならない」
「いや、逆に『呉越同舟』になってるよ」
 私は言った。
 呉越同舟とは、仲の悪い人同士でも同じ船に乗っている限りは喧嘩をしないって事だ。 
 喧嘩して転覆したらたまったモンじゃないからだ。
 互いに争っていたボス達は私達を敵とみなして(先に仕掛けたのはこっちだけど)攻撃してきた。
 まさに私達はモンスターの派閥の共通の的になっていた。