ねとげ~たいむ・エキスパート!!
私達はパラディスの街を肩を並べて歩いた。2人きりで歩くなんて8月以来だった。
周囲の人達は私達をチラチラ見てくる、漫画やアニメにしたって双子キャラは結構目立つ……、バトル漫画だと主人公とは生き別れの兄弟が敵(ライバル)として登場したり、美少女物だと強気な姉と弱気な妹などと言った感じで登場する。
以前にも話したけどこのアバター『コロナ』はお姉ちゃんのアバター『ルナ』を真似て作り上げた存在だ。正確に言うと分身と呼ぶべきなんだろうけど、ただやっぱり双子は目立つんだろう。
現実世界でも仲の良い友達と服装や髪型を似せる『双子ファッション』と言うのも存在する、確かに簡単になったり手に入れたりできる存在じゃないから憧れてるんだろうな。
そんな事を考えているとクエスト受注所へやって来た。そこで待っていたのはエミルとレミとセンリだった。ただ……
「あ、コロナ〜、お姉さーんっ!」
手を振ったエミル、だけど今回のエミルだけでなく、レミとセンリの姿を見て私は声を失った。それは勿論お姉ちゃんもだった。
何と3人ともツインテールとなっていた。エミルは短い青髪のツインテール、レミはウェーブのかかった金髪のツインテール、そしてセンリのは黒髪のツインテールだった。
今日は一体何の祭りだ? 私が迷っているとレミ達が言ってきた。
「エミルの提案よ、今日はみんなでツインテールでクエスト受けようってね」
「ま、これも付き合いね」
「古人曰く、郷にいっては郷に従え」
それはちょっと違うと思うんだけどなぁ……
ちなみに今回のセンリの格言は、その土地や場所にはそこにちなんだ風習や規則があるのだからそこに従えと言う意味だった。
私達はクエストを受注した。
今回受けたクエストは『海と山の悪魔』だった。
パラディスの海岸沿いに1つの町があり、その海域に『ディスマリン』とその配下のモンスター達が棲みついた。
それだけでなく漁村近くの山にも『赤い悪魔』の異名を持つ『ディアボロン』とその配下のモンスター達が棲みついてしまった。
ディスマリンは海に棲むモンスターで、ディアボロンは主に山岳地帯にすむモンスター……、本来出会うはずの無い2体のモンスターだったが、あろう事かこのモンスター達が縄張り争いをしてしまったと言うのだった。
このモンスター達の影響で海は荒れて船は出せず、山も砕かれて鳥や獣達が逃げてしまったのだと言う。
幸い住民達は避難したのだが、町の方にも被害が出ており、このまま破壊が続けば復興も難しく、町を手放さなければならないと言うらしい。
私達はクエストを受注けると街の門を潜り、画面が暗くなると『ナウローディング』と書かれたテキストフレームが現れ、次の瞬間町の入り口に立っていた。これがゲームで良かった。現実なら2日間歩かなきゃいけないからだ。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki