ねとげ~たいむ・エキスパート!!
本来の姿となったQ・フォックスには最早『武器』と言う概念は無い、純粋に属性による攻撃が有効となる。
現在火炎の攻撃だったから通用するのは炎攻撃だ。ローネさんは自分の炎属性の武器『炎魔刀』を手に取して攻撃した。
「気合斬りっ!」
燃え盛る炎の斬撃がモンスターの唐竹目掛けて振り下ろされた。
どうやら技の名前までは変更できないらしい……、いや、もしかしたら変更してないのかもしれない、この人は常識在る人だから。
しかしこの攻撃はQ・フォックスには通用しなかった。
「なっ?」
ローネさんは目を見開いた。
炎の斬撃は金色の毛皮に阻まれて無効化、炎自体も消えてしまった。
するとQ・フォックスは首を振るうとローネさんを振り払った。
「くっ?」
ローネさんは歯を軋ませた。
今まで同じ属性の武器が効かなくなったのだから無理も無い、私達はローネさんの元へ近づいた。
「一体どう言う事? 武器が効かなくなるなんて……」
「恐らく変身した事で能力自体も変わったんですね、つまり今までの事の攻略法は無駄って事になります」
「じゃあどうするでありんすか?」
「通用しなくなった物は仕方ないですよ」
「ええっ? じゃあクエストはリタイヤですか〜?」
「まさか、私は諦め悪いんですよ」
ローネさんは鼻で笑った。
この人は頭脳派だけど体育会系でもあるので諦めが悪かった。お姉ちゃんも変な所で諦めが悪い……、何でお姉ちゃん達と付き合ってるのか良く分かった。
この人は5人の中じゃ運動神経が低く、萌ちゃんにも及ばないけど、それを補うだけの頭脳があった。
ローネさんの戦い方は間違いなく『考える事』だ。状況を冷静に把握し、あらゆる事を想定して行動する……、攻撃手段が少ない僧侶職の欠点を見事克服していた。
するとローネさんは装備を変更、メインの装備である竜宮丸を手に取って構えた。
Q・フォックスの目が怪しく輝くと9本の尾が逆立つと、左側から順番に根元から燃えあがり、水が溢れ、凍り付き、稲光が立ち、硬質化し、竜巻が起こり、砂が舞い上がり、黒い闇が覆い、光を放った。
「なっ?」
私が目を見開いたのも束の間、Q・フォックスが上半身を屈めると9本の尾が鎌首を起てるとそれぞれの魔法が放たれた。
燃え盛る炎・噴出す水・凍てつく冷気・迸る雷・尖った鋼鉄・刃状の風・大小の岩・煙状の闇・凝縮された光線が襲い掛かった。
レミは前に立つと魔法を唱えた。
「ハイ・リフレクト!」
私達の前に輝く障壁が出来上がった。
全ての魔法はレミの魔法に阻まれてQ・フォックスに跳ね返された。
しかしQ・フォックスに対してのダメージは0、全く通じていなかった。
全ての属性の魔法を使うって事はその分他の魔法の効果も受け付けないって事だった。
するとレイさんがアナライズを使って相手の弱点を調べてみた。
「b、badでありんす、奴のweak・pointがnoでありんす」
「ええっ? じゃあ倒せないんですか〜?」
「いえ、必ず攻略法はあります」
ローネさんは説明してきた。
人間体だった時は跳ね返した雷が効いた。でも今回は効果が無い……、さっきと今との違いは変身してる事を除けば武器を使ってでの攻撃、しかも同じ属性の得物でしか攻撃が通じない。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki