ねとげ~たいむ・エキスパート!!
竹薮がなくなって巨大な広場に出た。そしてそこには巨大な社が立っていた。
するとその社の中に灯りが点ると、障子越しに人影が写し出された。
『誰かえ? 贄の刻にはまだ早いはずだが……、また童の命を狙う身の程しらずかえ?』
途端人影の頭から2つの獣の耳が映え、さらに背中に9つの尾が現れてユラユラと動いていた。
そして障子が左右に開くと人影の主が現れた。
足もとまである黒い髪のストレートヘア、雪の様に白い肌と長い眉、紅を差した唇、首から下は十二単を着込んだ平安の貴族の女だった。だけどいつの間にか耳と尻尾は消えていた。
「Оh、これまたjapaneseでありんす!」
「平安時代も時代劇ですからね」
私は言った。
すると女は言って来た。
『下賎な輩め、命が惜しくないのならば消えうせろ』
「what!? それは失礼でありんす!」
「そうです〜、私達は花の女子高生です〜! 名誉毀損で訴えますよ〜っ!!」
「いや、2人とも落ち着いて……、ゲームなんだし」
私は2人を宥めた。
ここにエミルやショコラさんがいたら余計ややこしくなるだろうな。
設定上生贄に出されるのは若い娘と言う設定で、そして討伐する冒険者は女だけじゃなくて男でもある訳なのだからそう言うセリフしか書かれて無いんだろう。
ちなみにさっきセナさんは『私達は花の女子高生』と言っていたけど、1人だけ大学生がいる、実際レミは目を背けていた。
そんな私達などお構い無しに女は右手に持った扇子で口元を隠すと目を細め、両肩を細かく上下させながら言って来た。
『ホホホ、それでも戦うか……、まぁ、よい、暇つぶしに付き合ってやろうぞ!』
逃げるか戦うかも決めさせてくれずに戦闘に突入した。
でも女が戦う訳でなく、社の影から額に金色の狐の顔が彫られ左右から角が生えた赤い兜と赤い甲冑を着込み、両手には長槍と腰に太刀を携えた狐の獣人達が現れた。こいつらは俗に言う親衛隊と言う奴だろう、ソルジャー・フォックスだった。
すると女はソルジャー・フォックス達に命じた。
『やれ、僕達よ、彼奴の腸を喰らい尽くせ』
女が鉄扇を突き出すと、ソルジャー・フォックス達は私達に向かって飛び掛ってきた。
ソルジャー・フォックスは薙刀を振るってくるが、レミがホーリー・メイスを突き出すと魔法を唱えた。
「フル・ウォールッ!」
私達の周囲に光のバリアが出来上がり、薙刀の攻撃を防いだ。
その隙にレイさんが技コマンド『アナライズ』を選択して相手の特性と弱点を分析した。
「ミナさん、こいつらはdarkの属性でありんす! lightの属性がweakでありんす!」
「分かった!」
私は光属性のブライト・ソードを装備した。
そして1番近くにいたソルジャー・フォックスに向かって技コマンドを選択した。
「ソニック・カッターッ!」
金色に輝く斬撃が飛んでゆくとソルジャー・フォックスを切り裂いた。
『ギャアアアッ!』
ソルジャー・フォックスは断末魔を上げると光の粒子となって消滅した。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki