ねとげ~たいむ・エキスパート!!
それから私達は先を急いだ。
最中に様々な狐の獣人達が行く手を塞いだ。
頭に烏帽子、首から下は水干を着て陰陽師の恰好をして魔法を操るメイジ・フォックス。
両手に薙刀を持ち、僧兵の恰好をして死者を生き返らせるシャーマン・フォックス。
編み笠をかぶり、首から下は着物と袴、手には刀を持った侍型のソードマン・フォックス。
まさに私達の様にジョブを持つ獣人達が私達に襲いかかった。
「本当に狐が多いですね〜」
「アルネちゃんなら『きつねうどん食べ方だいっス!』って喜びそう」
「あのね、けつねは油揚げでしょう」
「ケツネ? 何でありんすか?」
「大阪じゃ狐を『けつね』って言うのよ」
「そう言えばレミさんって、大阪出身でしたっけ?」
「ええ、大阪のけつねは美味いわよ、来る事があったら言ってね、案内してあげるから」
レミは言った。
テレビで視ただけなのだけど、関西と関東とじゃうどんは全く違うらしい、こっちの方じゃ醤油をたくさん使うけど、関西じゃ塩を使うので味もあっさりしてるし汁の色もかなり薄いらしい。
他にもウナギを背中からさばいて蒸して調理するのが関東風、腹からさばいて調理するのが関西風らしい……、ちなみに関東風が背中からさばくのは関東=江戸が武士の国だから腹から切ると『切腹』を意味するかららしい、一方関西は商人の国だから『腹を割って話す』と言う意味らしい。
考えただけでお腹が空いてきた。食い倒れの街って言うくらいだから美味しい物はたくさんあるんだろう、私もいつか行ってみたかった。
するとセナさんが言って来た。
「私の場合は……、確かに大阪に行って見たいんですけど、京都に行ってみたいです」
「どうして?」
「実は……、修学旅行が京都だったんですけど〜、雨だったんです」
「ああ、それきついですね」
私は納得した。
私とお姉ちゃん(ローネさん)達の場合は見事な快晴で、色々なところを見回る事ができた。
方やセナさんは雨で濡れるわ泥で汚れるわで大変だったらしい……、お姉ちゃんの場合は3日間だらける事ができず、しかも私に会えなかったと泣き叫んでいた。帰ってきた瞬間、私に抱きついて来たのは言うまでも無かった。
私達はさらに奥へ進んで言った。
するとレイさんの敵感知スキルが真っ赤に反応した。
「レイさん!」
「間違いないでありんす、この先にbossがいるでありんす!」
「じゃあ回復した方が良いですね」
「そうね」
ローネさんが言うとレミも答えた。
ボス戦に備えて体力を回復しておくのは基本中の基本……、今回はヒーラーが2人いるので体力面は大助かりだ。
2人の回復魔法で私・セナさん・レイさんの体力は全回復、レミの体力を回復したのだけど、ローネさんだけはHPゲージを半分くらい回復しただけで止めてしまった。
「ローネさん、まだ回復してませんけど?」
「ああ、私はこれで良いのよ、考えがあるから」
「考え?」
私は首を傾げた。
作品名:ねとげ~たいむ・エキスパート!! 作家名:kazuyuki