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刻苦労知す

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せっかく此処の住人が気味悪がって アイツ、そうボクたちの天敵アシダカグモを屋外へ追い払ってくれたのに、注意が足りなかった。
同じ夜行性のアシダカグモに捕まった仲間もいたから、夜もおちおち出歩けなかった。
その不安が解消されたと思っていたのに 昨今、気をつけろとのお達しがあった白い誘惑に引っ掛かってしまったのだ。
若いボクは、腹を空かせていたのだ。
まさか、あんな所にあるなんて思いもしなかった。

『ホウ酸ダンゴ』

あれは二日前の夜のことだった。
それまでカラカラ天気が続いて、しかも気温は高いまま。外は猛暑なら、締め切った部屋はなお暑さが感じられた。夜になっても暑い。
ボクは耐えた。
そして、においが変わった。
雨だ。
少し気温も和らいだようだ。活動できる。
ボクは、食べ物を探し始めた。できるならおいしいものにありつきたい。
そして食べてしまったのだ。

『ホウ酸ダンゴ』

気付かなかった。
でも、一緒にそれを食べたボクよりやや体の小さな仲間が冷蔵庫の下で息絶えているのを見つけたのだ。
まさか!?
でも、ボクの感じている喉の渇き。間違いない。
このまま、水を求めればボクはきっと助かる。急がなければ、同じ目に合う。

消化器系に作用して脱水症状を引き起こすと言われている不治の病。対処の詳細はまだ解明されていない。食べてから効果が現れるまで、半日から三日程度が山だ。
すでに二日が過ぎたが、ボクはまだ大丈夫。このままの最悪の時間を止めなければ。

作品名:刻苦労知す 作家名:甜茶