刻苦労知す
ボクは、水を求めてさまよう。
だから、あの気配の的にはなれない。
ほかの仲間に教えてやるのだ。
ボクが、生きる。
それがあの白い誘惑に勝った奇跡となるのだ。
ボクは、不安と闘いながら、キッチンのシンクに辿り着いた。
ガサガサ ガサガサガサ ガサガサ
足場を滑らせながら、排水口付近に残っている水を舐めた。
ふと、異臭に気付いた。
仲間の死骸を水まわりで発見した。
ボクは、恐怖した。
だが… もう、何も感じなくなった。
『もう少しだけ 時間をください』
『こんなボクたちでも生まれた意味はあるのですか?』
― 了 ―