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刻苦労知す

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それは、ボクたちを此処に連れてきた人がいるということです。
確かにボクは、この家の浴室の壁裏で生まれました。
でも聞くところに寄ると、その何代か前の仲間は、段ボールについてやってきたとか、ほかの仲間は、食堂に置かれた籠の中に入れられたカバンにくっついてきたとか、自然に帰れたと植木鉢に潜んでいたら引っ越すことになったとか。移動組としては、近隣の棲家で煙を焚かれて逃げてきた仲間もいるそうです。

あ、ボクたちの好きなもののことも話しましょう。
夜行性ですが、昼間でも電気をつけないといけない部屋ではいつでもお出かけします。
まずは、水回り。湿気のある暖かな場所も気に入っています。狭くても気にしません。どちらかといえば、道具の隙間のような空気の穏やかな場所は快適です。
食べ物は、おいしいほうが良いですが、いい匂いにはつい釣られてしまいます。
いい匂いがして狭くて餌まで置いてある場所がたまにありますが、どうも足が捕られていけません。仲間にもその魔力に戻って来なかった奴もいます。
……どうしているのやら。
いい匂いでおいしくて 何度も食べに行っても危険がない。そんな場所を見つけたら何度も通います。見かけによらず、記憶力はいいのです。
もちろん、嫌いなにおいもありますが、それは… 言えません。

作品名:刻苦労知す 作家名:甜茶