刻苦労知す
ボクたちが嫌われているのはわかっています。代々伝え聞いています。
でも、ボクはまだゴミ溜めも便所にも立ち寄ってはいません。わかっています。だからといって 清潔、潔癖症ではないことはわかっています。
昨今、便所も水洗式になって除菌までされているらしいですが、やっぱり不衛生なバイ菌は何処にでも生存しています。そんなバイ菌を体に保持し、至る所を立ち回ります。
見た目も不快感を与え、人の健康上、有害な物質や病原体を媒介するボクたちを『衛生害虫』となにやら反英雄のような呼ばれ方をしています。
かっこいい? そんなわけはない?
じゃあ、汚れた英雄? 闇の英雄? 悪い英雄?
わかりました。そもそも 英雄という扱いはないってことです。
お傍に行って喜ばれることはないし、姿を見る事さえ嫌われる。
「居ても出てこないで!」という感じでしょう。
しかし、遠い先祖に何があったのでしょう?
もの凄い食糧難があったのでしょうか?
それとも 生まれながらにして持った体質が雑食をし、生き延びてきたのか?
同じ昆虫でありながら 森深くで樹液を舐めて過ごしてきた奴らもいるというのに自分の生い立ちを恨んだりもします。
でも、です。
ボクたちからすれば、勝手にこの家に来たわけではないのです。
どういうことかって?