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遅くない、スタートライン 第4章

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第4章(2)

「ありがとうございます。MASATO先生!いいデザイナーさん紹介して頂いて」車の中で、美裕さんは俺に頭を下げた。
「イエイエ…お役に立てて嬉しいです。美裕さんさ、調理師の免許もあるんだね。いつ取ったの?専門学校出てから取ったの?」
「はい、えっとぉ…ショップに勤めている時に。5年目かな!独学で勉強して…調理師の免許あれば何かの時に役に立つと思って。あ、うちのお姉ちゃんも調理師の免許持ってるんです。その影響もあるかも」
「お姉さんは調理師さん?」俺はハンドルを左に切りながら言った。
「イエ…栄養管理士で調理師の上の資格も持っています。あ…あの人こそ資格マニアだ。その他一杯持ってますよ!ま、そのおかげで私と兄は学校を出してもらいました」
「すごいね!あぁ…さっきのダチデザイナーは勉強させて頂くから、美裕さんの意見をバンバン言ってくれって。今度は家を見たいって言ってただろ?」
「はい…あ、MASATO先生お願いがあるんですが」珍しい…何だろう?お願いって!

俺は美裕さんを家に送り届けてから、車を家に置きに帰って飲みに行った。(*^^*) いや…美裕さんのお願い事が嬉しくて、自分で祝杯をあげに行きつけのショットバーに来ていた。俺がご機嫌でハイボールを飲んでるとウエィターが聞いてきた。
「メチャご機嫌さんですか?MASATO先生!」
「うん。俺的にはすげぇ嬉しいんだ。で、自分で祝杯あげにここに来たんだよ」
「毎度ありがとうございます。で、何が嬉しいんですか?」
「……内緒だ。それは自分の心の中で思い出し笑いし、余韻に浸ることさ」
「はいはい!わっかりましたよ」ウエィターはお代わりのハイボールをカウンターに置いて行った。

美裕さんのお願いはさ…
「ご迷惑でなければ、デザイナーさんの下見の時に一緒に居てもらえませんか?また、その後もアドバイスが欲しいんです。MASATO先生はグルメ紀行も連載されてますよね?私が作った製作したスィーツにコーヒーの試食もお願いしたいんです。ダメですかね?」

俺は即答でお引き受けしましたよ。もちろん…

美裕さんに逢うのには、スクール絡みで逢うしかないかと思っていた俺だから、この申し出は嬉しかった。それで嬉しくて、一人で思い出し笑いと心の余韻を楽しんでるんだ。行きつけのショットバーでさ!

もうお分かりだろう?美裕さんはカフェスクール卒業後に自宅でスィーツ・カフェショップを開くんだ。保健所にいろんな届を出さなければいけないが、美裕さんは元パティシエに調理師免許もある、また神戸の老舗ケーキショップで8年働いてたんだ。その辺はよくわかっていた。卒業後に申請届を出した後は、自宅の1Fと庭を店として使うんだ。その工事をダチのデザイナーと仲間の一級建築士が請け負うことになったんだ。カフェスクールも後3ケ月で卒業だ。卒業するまでにカフェスクールで習得できるものは習得するみたいだ。愛先生にもよく相談してる美裕さんだ。時々…俺と愛先生と美裕さんでご飯も行くし、あ、美裕さんが食べれる所だ。愛先生はご自分で無農薬野菜を使ってるレストランを経営していて、美裕さんみたいなアレルギー体質の人でも安心して食べれる食材を使い、来店しても食物アレルギーを、お客様に自分で確認しメモを取ってシェフに伝えている。きめ細かいだろ…それが人気を呼んでいて、予約しても1ケ月待ちとかザラだよ。俺も1ケ月前から予約しましたよ!もちろん!

今日も愛先生のお店を使わせてもらった。また愛先生はのところで、ダチデザイナーは美味しい思いもしたな。何だか、名刺もらってたな!

さて…祝杯もあげたし、俺も家に帰って仕事しなきゃな。俺はカウンターに2,000円置いて。
「ごちそうさん!後はチップな」と言って、席を立った。


数日後、養成上級クラスの講義の日だった。MASATO先生に課題見てもらおう!私は前日に仕上がった原稿用紙を書類ケースに入れ家を出た。
教室の前まで来ると、クラスメイトが掲示板を見ていた。私の顔を見つけて掲示板を指さした。

「MASATO先生!休講だって!どーしたんだろう?この前そんなこと言ってなかったよね?」
「うん。取材旅行や休む時はいつも言ってくれるよね?」と…クラスメイト達は口々に言った。

教室に入ると、ホワイトボードに【自習】と書かれていた。え、自習って何すればいいの?課題なんてないのに!ホワイトボードの下側に何かまだ文字が書かれていた。これって…MASATO先生が書いたか、MASATO先生に頼まれて他の先生が書いた?ホワイトボードに書かれていたのは…

「自習…学生時代にこの言葉を聞いたら嬉しくなかった?自習をテーマに1作品書くこと!また書いたらクラスメイト同士で討論してみたら?」
クラスメイト達はうなづき、すぐに自分の席に座って構想を練り始めた。

私は養成上級クラスを終えて、愛先生に聞きたいことがあって職員室に行った。カフェスクールの卒業課題の食材について、使用許可をもらいに来たのだ。私は職員室を見渡したら…愛先生は私にニコッと笑いかけてこう言った。
「誰探してるぅ?あ、美裕スィーツファンのMASATO先生かな?今日は休みだよん!あいつ…珍しく具合悪くて寝込んでるだって。あ、美裕さん!私のお願い聞いてくれる?」愛先生は私に紙袋を押し付けた。