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遅くない、スタートライン 第4章

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第4章(1)

美裕さんと出逢って、初めての冬が訪れた。街はクリスマスカラーに染まっていた。美裕さんはというと、学校長と副校長と俺に打診されて養成スクール初級クラスから、中級クラスをスキップして上級クラスに入った。それだけ、俺達も美裕さんの才能を買ってると言っても過言ではなかった。上級クラスは厳しいぞ(笑)俺は初級の臨時講師をしていたが、この度上級クラスを受け持つことになった。難しい課題を出しては生徒の反応を見ていた。また出版社と提携して新人発掘場としてウェブサイトも新たに立ち上げた。上級クラスの生徒はフリー課題で、コンテストに応募することになった。今…目の色変えて生徒達は俺の目の前で、原稿用紙に鉛筆を走らせている。原稿用紙に鉛筆古いねぇ!でも自分で字を書くことによって、パソコンで入力するより得るものが多いと俺は思っている。

お…手が上がった。できたか…誰だ?
「MASATO先生!質問があるんですが」と声が聞こえた。俺は眼鏡をかけなおして、声のする方を見た。

「す、すんません。ちょっと時間ください。えぇ…違うの?美裕さん」
(俺もすっかり、美裕さんと呼ぶようになった、この頃だ)

美裕さんに出した課題の内容を問われた俺だ。俺的には年代考証して出した課題だったが、男と女では違うと樹美裕さんに言われ、またこの課題は書き手によっては全く異なった内容になるのでは、ないかと言われた俺だ。うーん、確かに言われればそうかも。

「わかりました…じゃこうしましょう」俺はホワイトボードに課題内容の変更を書いた。

「んもぉ!!なんであそこであんなツッコミするわけ?美裕さん」
俺は1Fのカフェスクールの教室で美裕さんに怒っていた?いや…怒っていたんじゃなくて、美裕さんが作った課題のスィーツが食べたくて、養成スクールの質問をネタに抗議していた。愛先生は俺の顔を見てクスクス笑っていた。目の前の美裕さんは、出来上がったスィーツにホイップとフルーツソースをかけていて、俺の質問には答えてくれなかった。

「MASATO先生!じゃましないの…もうすぐ終わるから!あんた…そのスィーツ食べたくてカフェスクールに来たんでしょ?」
その答えに、他の生徒達が笑った。美裕さんは口元だけ笑ったな!マスクしててもわかるんだぞ。俺は!!

「美味しい?MASATO先生」俺は他の生徒に囲まれて、美裕さんが作ったスィーツを食べていた。俺はスィーツを堪能していたから、うるさい小雀ども(他の生徒達だ)の声は聞こえてなかった。俺の反応がないものだから、生徒の一人が愛先生を呼びつけた。

「だから言ったでしょ!そのMASATO先生は美裕さんの作るスィーツを食べにカフェスクールに来てるの。抗議なんて見せかけだよ!ね…美裕さん」
「いや…何とも言えないです。MASATO先生はよくわかんないので」樹さんの声に、他の生徒が笑ったのは言うまでもない。

ま…後で課題の事は謝ってくれたけど。美裕さんは俺を困らせようと思ってした質問じゃないことは、この俺が一番知っているさ。


俺がカフェスクールに来たのはもう一つ目的があった。初回に美裕さんちでご馳走になってから、続けて2回も美裕お手製ご飯をご馳走になったんだ。2回目は初回から1週間後で、美裕さんも食べれる食品で和食をご馳走になった。その次はパスタとお手製ピザをご馳走になった。美裕さんは、香辛料や刺激物が全くダメだった。あと…青魚もダメで食べると発疹と熱が出るそうだ。香辛料や辛い物は口の中の粘膜をやられるらしい。あぁ、おなかも痛くなるし鼻血もでるらしい。小さい頃からこのアレルギーがあったそうだ。

あ、脱線した。俺のもう一つの目的はさ…食事のお礼もあるけど、俺のダチでインテリアデザイナーがいて、またヤツもオフィスを立ち上げたばかり、いろんな顧客を得て勉強したいと言ってたので、美裕さんを紹介しようかと思ったんだ。美裕さん…ご両親の遺してくれた家を将来の自分の為に改装したいそうだ。

お…美裕さんが出てきたぞ。俺は車のアクセルを軽く踏んだ。