HAPPY BLUE SKY 婚約時代B版 (投稿し忘れ)
(3)
話を少し遡ろう。
クゥの研究室入室が決まって、両家の親も揃ったところでパーティをするホテルを見学に行ったのだが、決まらなかった。またホテル側のプランは私達の意向とは少し違った。何て言うのだろうか、プラン自体が華やか過ぎたのだ。私はそういうのは苦手だった。またクゥも同じように苦手だった。この時点ではまだ時間に余裕があるとは思っていたので、パーティ会場ももう少し視野を広げてみようと思った私達だった。ところがだ‥その数日後にクゥの研究室入室が早まった。
それも3ヶ月だ。私もクゥも泡を食ったと言うのか、それぐらい驚いてしまったのだ。また親達の驚きも相当なもので、私達に早急に結婚式・パーティ会場を決めるように言ったのだが、私もクゥもすぐに対処はできなかった。そんな時だった。困り果てている私達を見て、ボンバード家のクゥの育て親の執事さんとコック長が私達にプランを提案をしてくれた。それがまたいい提案だったのだ。私が思っていたプランに近い提案だった。今クゥがいないので、執事さんとコック長に相談しながら、パーティの準備を進めているのだ。
マンションに帰ってから、ノートパソコンにクゥからメールが2通受信されていた。それも添付ファイル付きだった。何を添付してきたのだろう?私はマウスを手に持って、クゥから送信されたメールをクリックした。
「あのハイテンションな営業部員はどーしたんだ?」
翌朝、剣流会オフィスに来ていたミラド先生が私を指さしてスタッフに聞いた。スタッフは笑いながら首を左右に振った。ミラド先生の性格を知っていたのだろう。言ったらどんな結末になるかわかっていたから、答えなかったようだ。ミラド先生は私の横に来て、そばにあったクリアファイルを丸めてマイク代わりにした。私の耳元でささやいた?
「どーした?どーした?何でそんなハイテンションなんだ?スィート・クゥからあつーいラブレターでも来たのか?」
「うん」の一言で切り返してやった。(*^_^*)
私の切り返しで、ミラド先生は言葉が出なかった。ミラド先生がカラかうのは目に見えてわかったこと。だから、クゥは言われたら言葉短く返せとメールに書いてあった。さすがジュニア時代からのマブダチでミラド先生の性格をわかってる。後ろで聞いていた中村先生とスタッフは口を押えて笑っていた。
クゥのメールは、1通は【帰国日の確定お知らせ】ともう1通が【結婚式関係】だった。何軒かのホテルを見学した時、ホテル内にドレスが数着置いてあったが、私が着たいドレスではなかった。まだパーティホテルも決定していなかったので、後日またショップで見る事にしていたのが、クゥの海外公務が入ったのでまだショップには行ってなかった。そのショップにクゥのハイスクール時代のスタッフがいるそうだ。ミラド先生とも友達だと言っていたな。たぶん、ミラド先生辺りから、クゥの結婚話がそのスタッフの耳に入ったのだろう。海外公務中のクゥのスマホにその友達からメールが入ったそうだ。
ドレスのショップが見つかったのも嬉しいが、もっと嬉しいのがフィアンセのご帰還日が決まった事だ。もう4日でクゥが帰って来る。この4日間は私は忙しいのだ。クゥのマンションの掃除やディナーの仕込みや色んな事が私の頭の中でプランが組立られていた。もちろん、コタロウもトリミングに出して【イケメン柴犬】にしとかないと。あ、私も努力しなければ (*^_^*)
「‥‥おらんのか?一美は」
私の父こと、立野裕次郎顧問が剣流会のオフィスに入って来て、部屋をぐるりと見渡し、口に出た言葉だ。また、こじつけてN国に入国したんだ。この頃は1ヶ月に2回ほどN国に来ている。グループの仕事はどーしたんですか?と突っ込みたくなるほど、時間の許す限りN国に来ているのだ。その事に関して、クゥは私達に言った。
「今までの事は全部水に流せるものじゃないけどさ、あの話し合いで君達と親父さんとの間にできた氷が溶解しだしたんだ。親父さんは君達に逢いたくてN国にやってくるんだ。その気持ちを少しずつでもいいから汲み取ってやれ」と…
父が入国した時は、親子3人で私の部屋で食事を作って食べたりした。寝るのはさとの部屋で寝たが。早朝から私の部屋のインターホンを押し、コタロウを散歩に連れ出し、朝食も3人で食べて私と一緒に出て剣流会オフィスに出勤する。後は中村先生と藤村理事長と雑談したり訓練校の生徒の武道授業を覗き、また帰りには私と一緒にマンションに帰るのだ。最初の内は私達と父はぎこちなかったかが、2、3回目になると段々と打ち解けていき、普通の親子に戻りつつあった。これを見てクゥ・アーノルド少佐達は喜んでくれた。もちろん中村先生達もだ。
父が剣流会オフィスに来ていた頃は、私は半休を取ってエステの予約を入れていた。その後はヘアサロンの予約も入れていた。明後日ご帰還のフィァンセに逢うんだもん。気合入れなきゃ‥(*^_^*)
作品名:HAPPY BLUE SKY 婚約時代B版 (投稿し忘れ) 作家名:楓 美風