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HAPPY BLUE SKY 退出まで2週間 1

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「ごめんなさい‥」
カッジュはコタロウのバスケットを両手で持ったまま、また謝った。俺はカッジュの肩を軽く抱き寄せて言った。
「俺はいいよ‥中村先生にはもう1度謝っておけよ。先生はカッジュの事を心配してるんだ。あれから3年経つんだ。頑なに否定・拒否ばかりするのはどうだろうか?それは最善策とは思えないな。俺の部下ならわかるだろう?そういう時はどう対処すべきか」
「はい‥考えてみます。時間はかかるかもしれないけど‥」
「うん。それでこそ‥俺の部下のカッジュだ。いい子いい子!」
今度はカッジュの頭をなでてやった。カッジュは赤くなりながら‥笑った。バスケットの中のコタロウは、俺達の笑い声を聞いて【キャンキャン】と鳴いた。
「はいはい!もうすぐお家だよ。コタロウ」
「コタロウ!もうちょっとだからな!いい子にしとけ‥帰ったらメシやるから」
鳴いていたコタロウは、メシの声に鳴き止んだ。
「やっぱ‥そういう所は、カッジュにそっくりだ。ッハッハ」
笑い出したクゥだった。

コタロウが家族になってから1週間が過ぎた。俺はカッジュから預かったキーで家の中に入った。玄関のドアを開けて‥
「コタロウ‥いるかぁ?」
リビングの奥から、仔犬独特の声高い鳴き声が聴こえた。

「はいはい‥ご飯ですよ。コタロウ!マテ」
コタロウは俺の顔を見てマテをした。
「どうぞ」‥俺の言葉にコタロウはドッグフードを食べ始めた。
ペットシーツを替えて、コタロウ専用の給水ボトルに水を足した。また‥俺は玄関の中でコタロウに向かって言った。
「カッジュママが帰って来るまで、いい子にしてろよ。チビコタ」
コタロウは【キャンキャン】と元気よく返事をした。
いつもなら、カッジュが昼休憩の時に帰ってきてコタロウの世話をするのだが、今日は帰って来れなかった。朝から中村先生・理事長先生と訓練校の打ち合わせに行っている。それで俺がコタロウのお世話に来たのだ。ま‥俺が買って出た。コタロウ見たさに‥

「彼氏は彼女のマンションまで帰って、チビ・ワン公のお世話に行ったのか?アイツ‥そんな甘い男だったのか?ニックネーム変えないとダメだな。スウィート・クゥってな!」
またミラド先生だ。部室に私と中佐が居ないと、すぐにこんな言い方をするのだ。

「また‥ミラド先生スネてるよ」
「先生の方が子供じゃんないの?マブダチのクゥさん・オモチャのカッジュがいないと寂しいの!ね‥先生」
ハインツ先輩・イルディ先輩が先生の顔を見て、笑いながら言った。
「うっせぇよ!おまえら」
ミラド先生は手をワナらせながら怒った。その時に、クゥ中佐が部室に入って来た。
「何怒ってるんだ?おまえ」その声に部員達が大笑いした。

俺とミラドがコーヒーを飲みながら、くっちゃべっていたら‥
「中佐‥また例の男から電話が入っています。どうしましょう?」
ミラドと俺は顔を見合わせた。カッジュは今いない‥俺が対応してみよう。
「デスクに電話を回せ‥俺が聞いてみる」
ロディがコードレスを持ってきて、俺に手渡した。
「お電話変わりました。私は上官のクラウス・デ・ウィル・ボンバード中佐であります。立野は外出しております。私がご用件を承り後で立野に伝えますが、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

電話の向こうで、数秒の沈黙があった。いつもなら、名前を聞いたら電話を切る相手なのに、俺の言った言葉に何やら考えいてる様だ。
「もしもし‥お電話が遠いでしょうか?」
「‥‥いえ。結構です」そして電話が切れた。

「また切られたんですか?中佐」
「何が目的なんだ?この電話のヤローは」
「‥‥カッジュの親父さんだ。この電話の主は」
俺の声に部室は静まり返った。

「そうか‥そんなワケがあったのか。娘を心配した親父が名前も言わず‥かけた電話か」
「うん。どうやら‥親父さんはこの界隈に居るみたいだな。電話の声が近い‥館長先生(中村先生)も俺と同じ見解だ。カッジュに逢いたいんだろうな‥逢えなくても声が聴きたいんだろうよ」
ミラドはデスクに両肘をついて言った。
「どっちにしろ‥カッジュとは話をさせないといけないな。今度かかってきたら、こっちで指定してやれよ。ここじゃ‥他の部員の目もある。おまえと中村先生・理事長先生が中に入って、カッジュと親父さんに話をさせろよ」
「そうだな‥アーノルド少佐!例の電話がかかってきたら、俺に繋いでくれ」
「了解しました」アーノルド少佐は敬礼をして部屋を出て行った。