HAPPY BLUE SKY 退出まで2週間 1
部室に帰って来たヨルとツィンダーが口々に言った。
「カッジュぅ!まだ帰って来てませんよね?」
「そこのバス通りで、カッジュを見かけたと思ったんですか?」
「まだ帰られていませんよ。帰所は17時の予定ですから」
デスクワーカーのダンが二人に言った。
「ほら見てみろよ!カッジュじゃないぞ」
「なぁんだ‥でも良く似てた。カッジュをちょっと男顔にした感じで」
「見てみたかったな!カッジュの男版!またファンが増えるぞ」
その声にまた部員は笑ったが、後日‥俺達が仰天する出来事が起こる。
カッジュは訓練校の打ち合わせの帰りに、館長先生にスィーツを食べさせてもらって、ご機嫌で部室に帰って来た。また両手にケーキショップの箱を持っていた。
「館長先生が皆様にって。カッジュがいつもお世話になってるからって!シュークリームとエクレアですよ。お1人様1個ずつですよ」
部員達は喜んだ‥カッジュが入隊してから、うちの部員はスィーツ好きになったようだ。館長先生の差し入れは、瞬く間になくなった。甘い物を食べない俺とディック主査には、スパイス・クッキーを買ってきてくれたカッジュだった。
「来月の5日から訓練校で講師をします。訓練校では、週1回で合気道と剣道と護身術と逮捕術をして、ここの支部の体育館ホールで職員対象にも同じ割合で教室を開きます。後‥選手生活は支部対抗でトーナメント戦をする予定です。あ‥後は営業です」
「営業って、カッジュそんなのできるのか?」
「君‥そういうエリアはあまり得意ではないのでは?」
ディック主査とツィッター主査が口々に言った。
「そうなんですよ‥営業に入る前に、その道のエキスパートから講習受けるんですが。私‥来週から生きてないかも。そのエキスパートスタッフさん、鬼より怖いって」
カッジュは両手で顔を覆ったが、アーノルド少佐に頭を叩かれた。ウソつくな!で。
「ッハッハ‥バレたか。持ち前のド根性で頑張りますです。ではでは‥お疲れ様でした」
カッジュは箱の中のエクレアを見て笑った。
「あぁ‥もうしょうがないね!やるよ‥ヨルとツィンダーに見つかるなよ」
ビリー主任はカッジュにエクレアを渡した。カッジュは頭を下げて部屋を出て行った。
「館長先生にパフェとプリンサンデーとベイクドチーズケーキ食べさせてもらったって言ってたよな。で…シュークリームとエクレアと俺のエクレア‥」
「‥‥聞いてるだけで気分悪いよ。俺」
横のディック主査は口を押えた。
「彼氏もそうですか?」
「もう慣れた‥アイツはああいうヤツだ」
その声に4人は口も押えずに笑った。
その日は、カッジュに何も言わなかった俺達だった。後日‥俺達の予想外の展開となる。この時は思いもしなかった。
【退室まで後2週間】1 完結です。
次作は中佐達の予想外の展開が待っているようです。
作品名:HAPPY BLUE SKY 退出まで2週間 1 作家名:楓 美風