HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 4
私と少佐は、部室に戻る前にカフェテリアで、ちょっと【おサボリ】をした。TOP様公認で!二人とも【英気】を補ってから部室に入る事にした。少佐と私は今から、散々カラかわれるんだ。もうわかりきっている事だ。少佐のIDカードで、チーズケーキとプリンとチェリータルト・アイスカフェラテと頼み、少佐のアイスコーヒーをトレーに乗せて、私は席に着いた。また‥周りの支部職員が私のトレーを見て笑っているが、もう慣れた。少佐とカフェテラスに来たら、私はいつもこのパターンだから。
「俺のIDカードだったら、その日のスィーツ全種類オーダーするのはさ」
「はい。でも今日はいいって言ったじゃないですか?」
私は軽く少佐を睨んだ。少佐はちょっと目を伏せて、
「は‥はい。どうぞ‥今からカラかわれるの目に見えてるから。英気を養ってください。あぁ‥俺も何か食おうかな?軽食!」
カッジュ下士官は、まだ口のつけてないタルトをフォークでカットした。トレーを俺の前に押して‥
「どうぞ‥英気養ってください。少佐のIDカードで買ったものですが」
「‥‥ありがとう」
俺はフォークでタルトを口に運んだ。俺が食べてる時に、支部スタッフの驚きの声が聞こえたが、気にはならなかった。これからの事を考えると‥
「コラッ!それ以上カッジュをカラかうな。倒れたらどーすんだ」
「度が過ぎると、隣の個室から怒られるぞ」
「はいはい!もう止めなさい。カッジュがキレる前に」
「みんな止めろ!3時のおやつ全部カッジュに食われるぞ」
TOP様が先輩部員を制止してくれたが、私の手はワナったままだった。アーノルド主任が私の頭をなでながら言った。
「ごめんねぇ!カッジュ下士官‥今日1日限りのカラかいだから。片割れはチクチクいじめるけど。な‥後でアーノルド主任が表通りのカフェでスーパーパフェを食べさせてあげるよ。カッジュの好きなフルーツ一杯・カスタードプリンだ」
私は思わず口元が緩んだ。その時に中佐室から咳払いが聞こえたので、慌てて口を押えた。TOP様・先輩達は大笑いしたのは言うまでもない。
部室に入るなり、クラッカーと歓声付きのお出迎えを受けた私と少佐だった。歓声の種は表向きは【祝・昇進】だが、裏は少佐と私の事だ。交際宣言をしたワケじゃないのに、大佐達・部ではバレバレだった。今‥思うとそんなに私達は顔に出ていたのだろうか?
ゲイル先輩が私を呼んだ。
「カッジュ下士官!新しいバッジよ‥制帽も届いているわ。早速つけなさいよ!」
「はぁい!ゲイル先輩」
私は先輩達の輪から、逃げ出すようにゲイル先輩の元に走った。
キッチンのミラーで、下士官バッジを左胸につけて、制帽もベレー帽子からグリーンの制帽に変わった。下士官に昇格になるとベレー帽から制帽に変わるのだ。私より2ヶ月先に下士官に昇格したツィンダー先輩の制帽姿を見た時、私も早くこの制帽を被りたいものだと思った。今日‥それが実現した。嬉しい‥
その時だった。キッチンのカーテンが開いた。少佐だった‥マグカップをキッチンに持って来たのだ。私の制帽姿を見て‥
「うん。グリーンの制帽が良く似合うね。下士官バッチも輝いてるぞ」
「ありがとうございます。中佐もまた一段とよくお似合いです。ブラックの制帽も素敵ですね。カッジュ下士官は定年までには‥なんてムリですね」
「さぁな‥それは君の努力次第だ」
キッチンで私と少佐の笑い声が響いた。
「ったく‥キッチンでイチャつくなよ」
「ま‥お互いに昇格したし。嬉しさダブル」
「良いではないですか。初々しくて」
「おまえらぁ‥もうカラかうなよ。わかった?」
TOP様の言う事に、デスクにいる先輩達は黙って手を上げたそうだ。
作品名:HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 4 作家名:楓 美風