HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 4
後1週間‥
帰国して、2日開けて私は約5ヶ月ぶりにファイン支部に登庁した。守衛官が私の顔を見て言った。
「おはようございます!お久しぶりにお顔を見ましたよ。カッジュ上等兵」
「おはようございます。海外公務に出ておりました。今日から復職します。よろしく」
私は守衛間に軽く敬礼をした。また守衛間も敬礼を返してくれた。
私は部室に向かう前に、大佐室に出頭した。今から内示を受ける事になっていた。もちろん‥少佐も同席だ。また少佐も私と同様に内示を受ける事になっている。二人して大佐室に向かった。私は自分の胸を軽く手で押さえた。少佐は横で軽く息を吐いた。横の少佐は制帽を軽く手でなおし、私の制帽も手で軽くなおしてくれた。
「慣れんな‥こればかりは」
「少佐‥そんな事言わないで下さいよ。私はどうなるんです?大佐室に呼ばれた事なんて3年半で1回だけですよ」
「はいはい‥よし!入室するぞ」
「はい」
私達の顔は引き締まった。少佐がドアをノックし、
「クラウス・デ・ウィル・ボンバード少佐・Kazumi Tateno 上等兵であります。入室してよろしいでしょうか?」少佐の声が廊下に響いた。
大佐が立ち上がって、内示を手に持った。私と少佐は直立不動の敬礼をした。
「うむ‥クラウス・デ・ウィル・ボンバード少佐!本日をもって中佐に昇格!Kazumi Tatetno 上等兵!本日をもって下士官3等に昇格!および、諜報1班からNATOC傘下 kenryuu(剣流会)講師として配属を命じる。双方!今よりも精進するよう!職務に励みたまえ」
私と少佐は同時に踵を鳴らし、大佐に向かって最敬礼をした。また声を揃えて大佐の前で言った。
「双方2名‥奨励奮闘致します!」
内示を受け取って正式に辞令が下った。私は辞令を見て首を傾げた。それを見ていた大佐が笑いながら私に言った。
「カッジュ下士官3等‥辞令の日付か?」
「はい‥辞令を受け取ったらすぐに異動部署へ行くものだと思っていました」
「通常ならね‥まだ剣流会の館長が入国していないからだ。館長もまだ日本で片づけなければいけない事もあるらしい。終わり次第、入国するとは言ってるがね。ま、来月には剣流会も始動するから。それまでは、ムサイ男ばっかの諜報1班に居てやってくれ。急にいなくなったら、ヨルとツィンダーが寂しがるから」また大佐の声に中佐と少佐も笑った。
少佐が話してくれた翌日に、ファイン支部の大佐からコテージに電話が入った。大佐は私にこう言った。
「カッジュ君!君の世界選手権個人戦1位の功績のおかげでね!支部・訓練校の武道カリキュラムが発足した。また武道カリキュラムに関しては、その道のプロを館長として迎えて、若い講師陣と館長・運営スタッフと共に活動する事になったんだ。その講師陣の1人に君の名前が上がった。どうだろう?今度は講師として、NATOC職員の武道術を鍛えてくれまいか?また選手としても活躍して欲しい。なぁに‥ガチガチのスケジュールにはせんよ。年頃のレディを仕事に縛り付けておくほど、私はヤボじゃないよ」
私の後ろで電話を聞いてた少佐は、大佐の声が聞こえたのか、途中から口を押えて笑いを堪えていた。大佐もどうやら‥私達の事をご存じのようだ。またTOP様がおしゃべりしたんだわ!きっと‥
作品名:HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 4 作家名:楓 美風