HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 1
私は1人でプライベートビーチを歩いていた。少佐が手に持たせてくれたスポーツドリンクを1口飲んだ。冷たい感触がノドに伝わる‥それが私の気持ちを少しずつ、落ち着かせてくれた。少佐はコテージにいる‥
「1人で考えて来い。俺も考えたい事があるから」
私の顔を見ずに、あの大きな手で私の背中を押した。そしてドアは閉められた‥
私は岩場に腰をかけて考えていた。最近の少佐は、今までに私が見た事のない表情や仕草を見せる。さっきのアクションもそうだ。あの少佐が手を震わせるなんて今まで見た事がなかった。少佐の言葉が頭の中でまたリプレイした私だ。
「部から出て新しい世界に行け。君のエージェンとしての能力は俺も認める。でもその能力もいずれ、力尽く日が来る。選択肢がある内に羽ばたけ。俺もその方が安心できる。もうこれ以上‥俺のカッジュを危険な目に遭わせたくないから。な‥部が変わっても、俺と君との仲は変わらないから‥俺はずっと君の傍にいるよ。仕事外はな‥」
「‥‥私も思っていた。ステディになったら、同じ部に居てはイケナイよね。私はまだ恵まれてるのね。これも大佐達と理事長先生に訓練校長のご配慮だよね。じゃなければ、下っ端の私なんか‥良くて異動。ヘタすればクビだよ‥」
私は立ち上がって、深く息を吸った。そして‥
「ありがとうございます!大佐・中佐・少佐・部長・理事長先生・訓練校長」
海に向かって頭を下げた。
泣いたままのカッジュを、コテージの外に出した事を後悔した俺だった。あの時は俺も感情が昂ぶっていた。またカッジュに冷静な判断をさせなければいけない。俺の顔をがあるとカッジュは前に向けないと思ったから、頭や冷やさせる為に取った行動だが‥
「アイツ‥仕事外はドジで結構ボーッとしてるんだ。考え事して岩場なんかでコケたら、ケガする!俺が追いつくまで、ケガすんなよ。kazumi!」
俺は部屋を出て、玄関に向かった時だった。玄関のドアが開く音がした。
作品名:HAPPY BLUE SKY カッジュの旅立ち編 1 作家名:楓 美風