HAPPY BLUE SKY 中編
少佐の出向【2】
私は研修が終わり支部に出勤した。でもは少佐は部室に居なかった。緊急任務で他国に潜入していた。TOP達も少佐に同行していた。部室に居るのは第2TOPと数名だけだった。私は留守番のトニー先輩に尋ねた。
「少佐もTOP様も居ないんですか?」
「うん。緊急で昨日からO国に行ってる。少佐の嫌いなハゲのオッサンがまたシャシャリ出てきてさ。少佐ブチ切れちゃったんだ!現地に行って後ろからケツ蹴り上げるってさ!何でも少佐が餌巻いてたエリアに踏み込んだらしいぜ」
「あのハゲタコ!この前少佐にクギ刺されたのに、またやったんですか?」
「うん。だから少佐が激怒りなんだよな。あぁ‥少佐がカッジュはそのまま冬休みに入りなさいって伝言頼まれてた。アーノルド主任にも」
「エェ‥でもぉ!私今からO国に行きますよ」
「ダメだ!少佐からカッジュが行きたいって言っても許可するな!って指示が出てるからごめんな。明日から楽しい冬休み!楽しんで来いよ。バイバイ」
トニー先輩は手を振って無線室に入って行った。
私は少佐のデスクにお土産の紙袋を置いて部室を出た。もう帰れと言われたら帰るしかない。居てジャマになってもいけない。私はバックからチケットの入った封筒を取り出した。
「ボスの好きなXXXがあるのに。お土産のリクエスト聞いて行こうと思ったのにな。あれだけ悩んだけど、私はやっぱりボスが好きなんだね」
チケットを手に取り、私はまたため息をついた。
俺とTOPは2日後に帰国した。もうファイン支部は冬休みに入っている隊員もいた。カッジュもその中の1人だった。デスクの上に紙袋が置いてあった。紙袋にはミニメモが貼り付けてあった。紙袋の中を開けてみると、俺の好きなアイテムだった。またそれも2個も入っていた。このアイテムはファイン支部の界隈では販売していない物だった。カッジュ‥向こうでショップを回って買ってくれたのかもしれない。礼を言いたいが、カッジュは今はN国にいない。また【街歩き】の旅に出ている。日本には帰らないって言ってたな。俺はカッジュのPCにメルアドに礼のメールを送った。それから、カッジュとは休暇が済むまで顔を合わせる事がなかった。
年が明けた‥‥
私は【年頭朝礼】の為に、いつもより早く登庁した。ヨル・ツィンダー先輩もいつもより早く登庁してきた。支部横のホールで年頭朝礼が行われる。うちの部は今年は【進行】の係りに当たっていて、部からはアーノルド主任・ハインツ・サム先輩が進行スタッフに任命され、下っ端3人・私達はヘルプに入っていた。部の先輩達は、登庁したら部屋で軍服に着替えていた。中佐・少佐・TOP・第2TOPは制帽も被っていた。第2TOP以下は、階級ごとにベレー帽を被る。お互いに身だしなみをチェックして、留守番役を残し、部員は中佐・少佐を先頭に部室を出た。私は一番最後の列に居たが、コーナーを曲がる時に少佐を見る事ができた。入隊した時から思っていた。少佐の軍服・制帽姿はとてもかっこよかった。不謹慎かもしれないが‥‥
少佐は元々良い顔立ちをしている。少し強面だが整った顔立ちをしている。ファイン支部の中に結構ファンがいる。また男性隊員からは【クラウス兄貴】と慕われ、女性隊員からは【強面だけどカッコイイ・クゥ少佐】と言われている。クゥとは‥少佐のニックネームだ。同期ダチ・ミラド先生達は時々少佐を【クゥ】と呼んでいる。そのクゥ少佐がホールまで部下を従えて廊下を歩けば隊員達から声が上がる。私にもその声が聴こえた‥
総合司会のグルード大佐がマイクをスタンドにかけた。全隊員が直立不動の姿勢を取り、また支部長官が国旗とNATOC軍旗に身体を向けた。グルード大佐も支部長官の後ろで直立不動の姿勢を取った。グルード大佐は軽く息を吸い込んみ‥‥
「国旗・軍旗に最敬礼ッ!」
支部長官・全隊員が一声に旗に向かって最敬礼した。この瞬間は身が引き締まる思いがする。これがNATOC・ファイン支部の1年の始まりである。
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風