HAPPY BLUE SKY 中編
お互いの気持ち【2】
カッジュがインタビューを受けた雑誌が発売になった。見開き2ページにわたってインタビューとショット2カットが掲載されていた。発売日を聞いていた部員達は、通勤の途中で雑誌を買って部室に持って来ていた。俺もショップで雑誌を買った。雑誌の中のカッジュは笑顔だった。肌の白いカッジュにはライトブルーのニットワンピースがよく映えていた。俺はカッジュがそのニットワンピースを着て帰って来た時は、フリーズしてしまったから、よく見ていなかった。
「‥‥良く似合ってるよ。肌が白いカッジュにはいいカラーだな」
俺の横からアーノルド主任が覗き込んで俺と同じ事を言った。
「ですよね。カッジュはパステルカラー系がよく似合いますよ。かわいい」
「そうだな。最近かな?そういうカラーを着るようになったの。前まではモノトーンが多かったな。ホワイト・ブラック・グレー」
「はい。男の子演じてましたからね。アイテムもシンプルなモノばかりで。今じゃ‥ゲイルが飛びつきそうなキャラグッズにプリティ系持ってますもんね」
今日からカッジュは支部勤務になった。この前の公式試合で年内のスケジュールが終わったカッジュだ。また本人もすこぶるご機嫌だ。昼休憩の時には、支部の受付嬢2名がカッジュをランチに誘いに来た。受付嬢が部室に来た時には、部の男達の顔が緩んだな。この2名は受付嬢は支部でも1,2の美人だったからな。俺でも知っているぞ‥
「カッジュぅ!お洋服持って来た?」
「メイク用品も持って来た?この前お揃いで買ったのよ」
「うん。もっちろん!後でまたレクチャーしてね!アン・ルーシー」
2人はカッジュの顔を見て笑顔でうなづいた。3人が部室を出て行ってから男達は口々に言った。
「あぁ!今日は青年部のクリスマス会だ。カッジュは役員だからな!」
「それでかぁ!アンとルーシーで買い物に行くって言ってたな」
「女3人でバーゲンセールに行ったそうですよ。あ!経理のスーザンちゃんもだ」
「で…バーゲンセールの後はスィーツバイキングに行って腹一杯食べたそうだ」
アーノルド主任・ビリー副主任が笑いながら言った。
「アイツぅ‥フロアー何回も往復したんだろうな」
「ケーキ両手は食べてるさ。大好きなアイスもな!あの3人も一緒だぜ」
部員達は大きな声で笑った。俺もデスクで書類で顔を隠して笑った‥同意の意味で。
クリスマス会が終わって、そのまま寮に帰ったと思っていたカッジュだが、部室に帰って来た。宿直のヨルとディック主査がカッジュの姿を見て声を上げた。
「お料理余ったんです。スィーツも!宿直の先輩方にプレゼントです」
紙袋を俺達に見せたカッジュだ。その声にヨルとディック主査が喜んだのは言うまでない。
カッジュがキッチンで料理を電子レンジで温めなおしてくれた。また青年部のクリスマス会の料理は美味かった。俺達が新兵の頃の青年部のクリスマス会はショボかったぜ。ケーキにジュースだったような気がする。それもヤローばっかりだ!その当時は女性隊員は殆どいなかったからな。宿直中だから呑むワケにはいかないから、カッジュがコーヒーをドリップしてくれた。そのコーヒーが美味くて、カッジュがまたキッチンにコーヒーを作りに行った。ドリップに時間がかかってるのか、カッジュが中々帰って来なかった。
俺はキッチンのカーテンの前でカッジュに声をかけた。
「カッジュぅ!どうしたんだ?」
「フィルターのストックが無くなっちゃって。出してるんですけど」
俺はカッジュの悲鳴と同時にキッチンのカーテンを開けた。
俺の目の前に映ったのは、カッジュが椅子の上で背伸びをしてシンク上の棚に手を伸ばしているシーンだった。またその椅子が安定が悪い‥カッジュが手を伸ばす度にガタガタと音を立てている。
「何してんだよッ!無理しないでヨルを呼べばいいのに」
「す‥すみません。もうちょっとで手が届きそうで」
「ケガしたらどうするんだよ!降りろ!俺が取るから」
「はぁい!っと‥キ‥キャァ!」
カッジュは椅子から降りようとして、足を滑らせた。俺は咄嗟に腕を伸ばし、カッジュの身体を腕で抱き込んだ。
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風