HAPPY BLUE SKY 中編
私はシャワールームで、ドライヤーで髪を乾かしていた。時々、ミラーを見ながら自分の顔を見ていた。心なしかまだ顔が赤いような気がした。隣にいたミリーが私の顔を見て言った。
「どったの?カッジュ‥さっきからミラーばっかり見て。あぁ顔赤い!何かいい事あったんだな。こらぁ‥同期のミリーちゃんに教えろよ」
ミリーは私の腕を指で軽く突っついた。
「な‥何にもないわよぉ!」ますます赤くなる私だった。
部屋に帰ってから、私はプライベート用のシステム手帳を開いた。レザーのカバーの中の写真を取り出して見ていた。その写真は入隊して初めての海外公務を終えた私に、ボスがご褒美をくれると言った。ご褒美はチャイナレストランでディナーを食べさせてもらった。その帰りに、二人ともアルコールが入って調子に乗ったのか、ツィンダー先輩もおどけて私とボスに言った。
「ボスぅ!カッジュぅ!こっち向いてぇ」
普段のボスなら逃げるところだが、アルコールを飲んだから逃げなかった。私も調子に乗ってボスの腕をつかんだ。そして2ショットの写真を撮った。二人ともアルコールで顔が少し赤いが、笑った写真だった。
「‥‥ボスの胸広かったな。入隊してから、何度かフザけて顔をつけたことがあったけど。顔まで触られたのは初めてだったな。大きい手だった‥いつも冗談で私の頭を叩いたり、撫でたりする手だけど。今回は1ヶ月離れていたから‥どうしよう。まだ胸がドキドキしてきたわ。ワタシ」
私は写真のボスの顔を指でなぞった。そう‥私はボスが好きなのだ。ボスは私の事を【ガキんちょ・カッジュ】レベルで、私の事を【異性】としては見てないと思う。上官だもん‥好意を打ち明けてもイケナイと思った。だから心の中で想う事にした私だった。
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風