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HAPPY BLUE SKY 中編

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心の変化【4】



アーノルド主任は、隣のビリー副主任の手をボールペンで軽く叩いてメモを見せた。そのメモが今度はツィッター・ディック主査に渡った。そして4人は同意の意味を込めてうなづいた。そのメモの内容とは‥
「今日で【M】5回目の手ワナ!人気者【K】だから」
【K】とは私の事だ。【M】とはボスの事だ。

先日の公式戦で個人優勝をした私だが、ファイン支部に帰ってからスポーツ雑誌やスポーツ新聞にインタビューの申し入れが数社あった。また今年は支部の青年部の役員になっていたので、もうすぐ開催される【フェスティバル】準備の為に、同じ役員の男性が部室を訪れる事が何回もあったのだ。また‥その男性役員が【連絡】にこじつけて、私を(昼休みよ)呼び出してランチやお茶に誘う。昨日は、その打ち合わせの終わりに‥

「ね‥カッジュぅ。今フリー?フリーだったら俺と付き合って」
言われた私はビックリしたものだ。前振りもなく‥イキナリ告白場面になったから。丁重にお断りしたが、それをどうやら部の先輩達が見ていたらしい。部室に帰るなりカラかわれたから。ゲイル先輩とトニー先輩は口々に言った。
「何でフッたの?あの子‥財務部のXXX君でしょ。人気高いのに」
「アイツは支部でメンズ5位だぞ。ランキング!もったいない」
「私にお付き合いする時間があるんでしょうか?先輩方」
二人を軽く睨んだ私だった。兼業の私にはそんな【お付き合い】する時間もないし、同期のダチと遊びに行くのに数ヶ月前から、スケジュールを調整してやっと遊びに行けるのに。ま‥時間があったとしても。私は【お断り】しますよ。好きな人がいるから‥

俺は部員達がコソコソと何か話してるのは分かっていた。今週に入ってからだ‥何やらリストを作って【×】印を入れいてる。昼休憩から帰って来たサムとフレックが、そのリストにまた【×】を書き込んだ。アーノルド主任・ディック主査が口を押えながら笑った。
「あっらぁ‥コイツも撃沈か。ランキング3位の通信部のXXX」
「コイツら‥カッジュが雑誌に載ってからプッシュしまくりんだってな。カッジュが登庁する時間に玄関で待ってるそうだ。お話がしたくてな!」
俺はその言葉を聞いて、持っていたアルミ缶を手で握りつぶしていた。

数日前の事だった。雑誌インタビューで、ヘッドコーチがカッジュを部室まで迎えに来ていた。カッジュの雑誌インタビューは事前に報告を受けていたから、俺はカッジュを快く送り出した。アーノルド主任とビリー副主任がカッジュに言い利かせた。俺もだが‥

「天然ボケな答え方するなよ!カッジュ」
「食べ物の話するなよ。特にスィーツ系」その声に部員達が大笑いした。
「わかってますよぉ!大人の女を演じてきますね。先輩方」
「よく言うよ!ガキんちょ・カッジュが!カッジュ‥すぐにバケの皮が剥がれるようなウソつくんじゃないぞ。ウソついたら、新作のケーキ買ってやらんぞ」
「はぁい!頑張ってきます。行ってきます」
笑いながら、部室を出て行ったカッジュだった。

2時間後にカッジュが部室に帰って来た。帰って来たカッジュを見てゲイルが声を上げた。何を騒いでるんだ?あのオネエ部員は!俺は頭痛薬を飲むためにキッチンに居た。またゲイルの声は頭に響くんだ。俺はキッチンのカーテンを開けて言った。
「うるさいぞ!ゲイルッ‥おまえの声は頭に響くんだ」
作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風