HAPPY BLUE SKY
実習開始
部員達は、背筋を伸ばし直立不動で敬礼をした。
「おはようございますっ!少佐」の部室内に男27人の声が揃って響く。
私も声を出したが、27人の男達の声にかき消されてしまった。
少佐こと‥クラウス・デ・ウィル・ボンバード 32歳 A型
バリバリの硬派・ヘビースモーカー・ファイヤーマン・冷血の男‥
後なんだっけ?寮生が言ってたニックネーム‥多すぎて覚えきれなかった私だ。
少佐は部員達の挨拶には応えずに、軽くうなづいただけで部員達の前をまた靴の踵を鳴らし自分のデスクに向かう。私の事は眼中にも入れてないようだ‥そのまま通り過ぎた。デスクワーカーのトムさんが私の上着の裾を軽く引っ張った。
どうやら‥トムさんは少佐が出勤したら、ドリップしたコーヒーと新聞3紙をデスクに持っていくのが日課みたいだ。今日は私も横についてくるようにと部室の一角にある小さなキッチンで私に言った。
デスクワーカーのトムさんが音を立てずに、少佐専用のコーヒーカップをデスクの上に置いて新聞3紙も横に置いた。それも少佐がコーヒーカップを手に取る時に、新聞がジャマにならにように置いた。そしてトムさんは私にうなづいた。
私はまた直立不動で敬礼をして、また挨拶をした。さっきもしたけど‥
「おはようございます!本日からお世話になります!Kazumi Tateno 訓練生です。よろしくお願いします」声を張り上げた私に少佐は‥
「‥来たんだな。昨日でビビって今日はもう来ないのかと思ったぜ」
少佐はタバコを手に取ると、横にいた部員がライターを少佐のタバコの前に差し出した。タバコに火をつけた少佐は、軽くタバコを吸いこみ‥また突き刺さる視線で私を見た。
「訓練校からの経歴・評価表を見せてもらった。元ポリスだってな!見せてもらおうじゃないか‥日本のポリス根性を。元ポリスなら‥なおさらだ。容赦せんぞ‥覚悟しとけ」
「は‥はいっ!」私は再び直立不動状態で敬礼をした。
少佐の横にいた部員が私の目の前に立った。
「君の指導教育係だ。アーノルド主任・その横にいるのがビリー副指導教育係だ」
「本日からお世話になります!Kazumi Tateno 訓練生です。よろしくお願いします」私は二人に向かって敬礼をした。
そして‥私の実習が始まった。
作品名:HAPPY BLUE SKY 作家名:楓 美風