HAPPY BLUE SKY
出逢い【2】
私はドアの前に立ち尽くしていた。
ドアをノックする前に、部屋の中からの怒声が聞こえたからだ。
この部屋でケンカでもしているのか?
私と担任のボング教官は顔を見合わせたぐらいだ。
その怒声の声がまた聞こえた。
「必要ありません!女なんかうちの部に要りません!訓練生であろうが」
どうやら‥怒声の原因は私の事みたいだ。
ボング教官は頭をかきながら‥つぶやいた。
「あの男!全然変わってないな」
「ご存じの方なんですか?教官」
「うん‥私の教え子だ。フォン部長先生の教え子でもある」
「私どうしたらいいんでしょう?どうやら不要みたいですよ」
「かまわん‥訓練生を教育するのも職務の一つだ。入るぞ‥」
ボング教官はドアをノックした。
部屋の中に入ると、突き刺さるような視線を感じた。
ボング教官は私の腕を叩いた。私は直立不動のまま敬礼をした。
「訓練校から参りました!訓練生 Kazumi Tateno です!本日よりお世話になります。よろしくお願いします」声を張り上げた。
部長と中佐が私の顔を見てこう言った。
「頑張りたまえ‥そこのトーヘンボクは気にしなくていい」
「少佐!軍務命令だ‥軍務命令に背く事はどういうことかわかっているだろうね」
その少佐が椅子から立ち上がった。長身で切れ長の目で私を睨みつけた。
「わかりました‥私もそこまでバカじゃありません。軍務命令に背いたら軍法会議にかけられますからね。お引き受けしましょう‥その前にいいですか?そこの訓練生に一言」部長と中佐・ボング教官は軽くうなづいた。
寮に帰ってからも‥
まだ耳の中で、セミがフルバージョンで鳴いているようだ。またこめかみも痛かった‥部長室で聞いた少佐の声が、私の耳の中で響いていた。警察官出身の私だが‥怒声は慣れているつもりだったが。ここまでのレベルの怒声を聞いたのは初めてだった。
あの少佐殿が言った言葉が‥また私の頭の中に蘇ってきた。
「うちの部に来た限りには容赦しない‥一度でも泣きが入ったら!即部屋から追い出すからな!根性入れて来い!明朝7時までに入室しろ!うちの下っ端に部の心得教えてもらえ!わかったか!」少佐はそう言って部室を出て行った。
作品名:HAPPY BLUE SKY 作家名:楓 美風