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ゴースト・ワイフ

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僕は朝からのドタバタ騒ぎに少し疲れていた。イヤ少しどころじゃない‥とても疲れていたが、疲れた顔で仕事をする訳にはいかない。お客様の前では「笑顔」でいなければいけないから。ムリに笑顔を作っていた。

‥‥僕の仕事はデパートの外商部員だ。外商のお客様は一般の方とは違い、また神経も使い・またお客様のご要望にも応えなければいけない。妻が亡くなるまでは、僕は仕事一筋だった。また‥妻の奈央に何もかも甘えていた。そのお客様に言われた‥
「桜本君(おうもと‥僕の名字だ)‥どうしたのかね?ココ」
ご自分のワイシャツの襟元を指をさした。

僕は立ち寄ったファミレスのトイレで、自分のワイシャツの襟元を見た。
「こんなとこにシワがよってる。奈央なら‥シワよせないよな。自分でかけたからさ。仕方ないか‥1回もしたことないし。今度からは気をつけよう」
アイロンをかけたものの‥ワイシャツの襟元の端にはアイロンじわができていた。

翔太と沙希は、学校が終わったら「学童クラブ」にお願いしたが17時半で終了だ。僕の仕事が終わるのは19時だ。電車で1時間かけて通勤している‥帰ったら20時過ぎだ。おなかを空かせてるだろうな。今日は買い置きしたオヤツをテーブルの上に乗せてきたが。

玄関のドアを開けると、翔太と沙希の声が聴こえた。何だかモメてるのか?僕は靴を脱いで玄関から上がった。子供達は僕の顔を見て言った。
「パパ!こんなの見たことある?僕は見たことないんだけど」
「パパ!こんなの知らないよね?沙希だって知らないのに」

テーブルの上に置かれていたのは、キャラクターのメモパッドだった。
「誰のんだ?それ‥パパも知らないよ」
「だよね!」ふたごは僕の顔を見て同時に言葉を発した。

僕はメモパッドを手に取った。
子供達には「知らない」と言ったが、後で思い出したのだ。
そのメモパッドは妻の奈央の物だ。どうしてこのメモパッドがリビングにあるんだ?このメモパッドは、奈央のドレッサーの中にしまってあったはずだ。このメモパッドは想い出のメモパッドで、奈央は大事に持っていた。また1Pも書き込んでなかったはずだ。僕の指は、メモパッドの表紙をめくった。
作品名:ゴースト・ワイフ 作家名:楓 美風