目覚めると…
第2章 夢なのか?現実なのか?
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直樹とケンカしてから、私の心は一層ブルーになっていた。何だかんだと怒っても直樹が好きなのだ‥クリニックの上司のコトがなければすぐに仲直りに向けて動き出す私だったが‥デキなかった。私の目の前にあるのは、デスクに積まれたファイルや資料が山積みになっていた。今日の朝、出社したらデスクにメモが貼りつけてあった。私の頭は一瞬白くなった‥
そのメモを貼ったのは、あの上司である‥またメモの内容の言葉がキツかった。本来ならこのファイル・資料は年度末に処理を行うモノである。まだ年度末には3ヶ月以上もあった‥私的には来月の半ばから取りかかろうと思っていたので。その旨を上司に報告して承諾してもらった。事務長にも報告した‥何でソレが今処理しろだなんて言うの?私だって山のように仕事を抱えている。毎日の仕事に週ごとの仕事・その他もあるのに!「遊んでばかりいないで真剣に仕事したら?」と追伸まで書いてあった。仕事メモにそんなコト書く?普通‥書かないわよ。追伸まで読んで私は‥事務長のデスクに向かって歩きだした。
事務長は「事なかれ主義」の人だった。ましてや女性スタッフが多い。何かと面倒くさいと思っているみたいだ‥
「あぁ‥XXXさん(上司)がどーしても急ぐって言うんだ。チーフが手空いてるからやらせてくださいって言ったよ」
「事務長‥私の仕事の現状よくご存じのはずですよね。今抱えてる仕事だってスケージュール組んで調整してるんですよ。できません!コレ以上は手を広げられません。事務長はこの前承諾して下さったじゃありませんか!それにムリです!私だって」
事務長は私を見て‥こう言った。
「頼むよ!チーフぅ‥君が上手く立ち回ってくれないとXXXさん機嫌悪いんだよね。残業してもいいから!」
そう言って、デスクのイスから立ち上がって部屋を出て行った。私はメモを握り締めたまま立ち尽くしてしまった。事務長にもそんな態度を取られてショックだった。このまま立ち尽くしていても何も変わらない‥私はデスクに戻って自分の仕事スケージュールを見て、その仕事に取りかかった。
クリニック診療が終わっても、私は仕事をしていた。毎日の仕事・週の仕事・その他をコナしてから押し付けられた仕事をコナす。そんなことをしているから、いつも帰りは23時を回った。クリニック診療後4時間の残業をした私だった。体力的にも精神的にもどん底だった。パソコンのディスプレイを見ていたら、涙で画面がボヤけることもあった。涙を指で拭いながらまた画面を見つめる。ソレの繰り返しだった。長時間‥パソコンの画面を見ていると目も疲れる‥デスクに顔を突っ伏した私は‥
「辞めようかな‥何でこんな辛い想いまでして仕事しなきゃいけないの‥でもぉ‥辞めてどうするん?神戸に帰るん?帰っても誰もいてへんし‥もう二度と帰らんって誓ったやん。私」また涙が溢れてくる私だった。