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目覚めると…

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 それから家に帰って来た私は、玄関の中でまた両手で顔を覆ってかがみこんでしまった。
「な‥何でこうなるの?私が悪いの?直樹のバカ!」玄関の中で叫んでしまった私だった。
どれぐらい玄関の中で佇んでいただろう。イヤ動けなかったのだ。スタバを出てから、怒った顔を見られたくない私はバスに乗らずに5区間歩いて帰って来たのだ。その5区間歩いた疲れも出たのかもしれない…イヤ精神的疲れの方が大きかったのかもしれない。

 玄関の中はやはり寒い。このままでは風邪をひいてしまう。私は力を振り絞って何とかリビングのソファまで歩いて来た。ソファに倒れ込んだ私は‥つぶやいた。
「このまま眠りたい…もう起きたくない。このままずっと眠っていたいよ」
ソファのクッションには‥小さなシミができた。それは私の涙だった‥もう涙を拭う気力もない私だった。
でも、ひとしきり泣いた後は涙を拭いて起き上がった私だ。明日も仕事があるのだから‥こんなことで休めない。休んだらみんなに迷惑がかかる…この時は気力だけで自分を支えていたかもしれない。

 私がこんなにヘコむのは直樹の事ばかりが原因じゃない。クリニックでも色々とあるのだ‥
 上司は40歳前半の女性上司である。仕事はデキるが感情面にコントロールが効かない人だった。一度感情的になってしまうと手がつけられない。年齢もあるのかこの頃はさらに酷い。また怒っていても事務長や先生達・院長の前ではキレないのだ。後でチーフの私に当たり散らすのだから…こっちとしてはたまったもんじゃない。ここ数日は給湯室に呼ばれて‥その上司に叱られるのだ。デスクでは叱らずに。それも昼休みに入ってすぐに給湯室に呼び出されて、ひどい時は1時間近くも怒られる。おかげで私はお昼ご飯も食べる時間もなく午後の仕事に就くことになった。今日の直樹のケンカとその上司のおかげで私は精神的に大ダメージを受けた。もう本当に限界なのかもしれない…私の心と体は。
作品名:目覚めると… 作家名:楓 美風