目覚めると…
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一昨日のデートの時だった。待ち合わせは20時だったが‥クリニック勤務の私は午後の診察が終了するのは19時だった。そこからまだ私は仕事があるのだ。会計チェックや明日の申し送りや‥上司との打ち合わせなどがある。ソレを最短に済ませても19時40分までかかる。その日に限って受付で「会計誤差」が出てしまい原因追究の為、私が今日1日の会計済み金額をチェックした。原因がわかり、受付事務員に指示をして修正させ上司に報告をしたら20時5分前だった。私は、デスクの上を片付けながら携帯に耳を付けて直樹に連絡を入れたのだが。その時の私の言い方が気に入らなかったようだ。
待ち合わせ場所のスタバに向かって私は小走りしていた。スニーカーならまだしもヒールで走るのだ。足だって痛い!でも痛さを堪えて走った‥直樹が待っていると思ったから。スタバのドアを押して奥の席に座っている直樹を見つけた。
「ごめんね。受付で誤差が出ちゃって私が総チェックしてたの。もう!イヤだよね。帰る間際に!」
「忙しいんだよね。俺と違って受付チーフの美咲さんは!でも顔は「私がいないとあのクリニックは回らないわ」って顔してるよ。いいね!遣り甲斐あって」と言ったのだ。私はそんなつもりで言ったんじゃないのに。
一日立ち働いて、疲労している私だ。直樹も疲れているけど‥そんなのはお互い様じゃない!そんな言い方しなくてもいいじゃない。私は職業柄「感情」を顔や動作に出さないように心がけているが。今日は両方とも出てしまった‥もうガマンできなくて‥口を開いた。
「どうしてそんなイヤ言い方するの?私はちゃんと連絡したじゃない。遅れるって!ソレに来た時に謝ったわ」
直樹も言い返されたのに腹を立てたのか‥
「見よがしじゃん。俺が職場で辛い目にあって、仕事も干され状態なのわかってるじゃん‥ムカつくんだよ!私は直樹と違うのよって目が言ってるんだよ。美咲の目が!」
「わ‥私がイツそんな目をしたの?直樹!最近ヒドイよ‥逢う度に私にヤツ当たりしてるじゃん!直樹の方がムカつくよ!もういいよ!勝手にすればいいじゃない!今日は帰るわ」
私はイスに置いたバックを手に持って、スタバを出て行った。