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目覚めると…

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<3>

 誰だろう‥さっきから手握ってるの。痛いんだけどな‥そんなに力を入れて握られると!跡型ツイちゃうよ。
握られた手が痛くて私は目を覚ましたのだ。

 ゆっくり眼を開けた私の視界に入ったのは直樹だった。いつも「爽やか直君」で髪もディップでセットして髭だって剃り残しナシの直樹だが。今、私の目の前にいる直樹は髪はクチャクチャで無精ひげが生えていて眼も充血していた。
「み‥美咲ぃ‥よ‥よかったぁ。もう眼を覚まさないんじゃないかと思った」

直樹は私の頬に手を当てながら言った。

「ホントごめん。美咲‥お‥俺スッゲェ美咲に甘えてたんだ。こんなに美咲を追いこんでいたなんて」
現状がよくわからない私は‥辺りを見回した。
「わ‥私どうしたの?ここドコ?直樹」

直樹は‥眼を手の甲でこすりながら‥
「病院だよ‥美咲はね」と話し出した。

 直樹に連絡をためらった私は、そのままベッドで眠った。自分では起きていたつもりだったが、ずっと眠ったままだった。直樹も私と連絡が取れない事を不審に思いマンションまで来たそうだ。直樹が玄関でインターホンを押し私の名前を呼んだのだが。返事はなかった。携帯を取り出して耳につけたところに、直樹の肩を叩く人物がいた。

院長先生と真野看護師長だった。二人も私が出勤してこないのを心配し私のマンションまで来たそうだ。
「高野君!合鍵持ってないのか?」 (直樹の名字は 高野と言うのです)
「スペアーキーあるところは?」

直樹は首を振った。
 
 直樹にはスペアーキーの場所は教えていたが。この時は動揺していて思い出せなかったそうだ。
管理会社に院長先生が電話した。管理会社のスタッフが鍵を開けて先生達が中に入ったら、私はベッドの中で青白い顔をして眠っていたそうだ。真野看護師長が私の肩を揺すって何度も呼びかけたが私は反応がなかった。院長先生が私を診察し色々と反応を試みたが「昏睡状態」と判断し、クリニック提携の総合病院に私は救急搬送された。それから私は5日間眠り続けたそうだ‥

 5日間も昏睡状態だったの?私‥そんなに眠っていたの?
「美咲‥5日間じゃないよ。トータルして1週間寝っぱなしだよ。真野看護師長から聞いたよ‥クリニックでの出来事も。美咲泣きながらクリニック飛び出しただろう。真野看護師帳が追っかけたけど見失っちゃったんだって」

 あぁ‥誰か呼んでるのはわかっていたけど。真野看護師長だったんだ‥

「それでね‥院長先生が後輩の小枝ちゃん達を美咲のマンションに様子を見に行かせたけど不在だったから帰って来たんだ。院長先生は大島のことだ!アイスのやけ食いでもしてるんだって。その時は笑って言ったんだけど‥その日から美咲と連絡が取れなくなったんだぞ。俺は美咲とケンカしてから‥ごめん。大阪に出張に行ったことをいいことに連絡しなかったんだ。俺がちゃんと連絡していれば‥ホント!ごめん!!美咲ッ」

 私に頭を下げた直樹だった。こんな直樹見たことないわ‥いつも笑いながら‥
「みさっきちゃん!ごめんして」と謝るヒトだったから。
「もういいよ‥ね。私何で昏睡状態になったの?自分では起きてるつもりだったのに」
直樹は私の手を握って‥
「美咲ね‥総合失調症だったんだ。総合失調症による精神的ダメージで昏睡状態に入ったそうだよ」
「そ‥総合失調症?私が‥」

直樹はうんうん‥うなづいた。
作品名:目覚めると… 作家名:楓 美風