私だって…
由美子とは駅前のドーナツショップで待ち合わせをした。彼女のご主人は昨日から地方出張で不在で暇を持て余していると言った。由美子も子供がいるが、大学生でサークルや遊びに忙しくて家には寝に帰ってくるようなものだといつも言ってた。
「あぁ‥うちのドラ息子は2日前から帰って来てないの。ゼミの合宿じゃと言ってたけど怪しいわね」
「そう‥息子ちゃんもいないんだ。で、かなっぺを(私のニックネーム)誘ってくれたのね。ありがとう!由美っぺ(由美子のニックネーム)さん」
私は由美っぺに逢って、治まった涙腺がまた緩んできたようだ。由美っぺの前で目が潤んでしまった。由美っぺはそばにあったナフキンを私の手に持たせてくれた。由美っぺは、私が話している間は何も言わず、話し終えた時にこう言った。
「かなっぺさぁ、自立したら?働けって言ってんじゃないの。旦那と子供ってそーいうものよ。居て当たり前・してもらって当たり前なの。旦那も子共好き勝手してるのよ!かなっぺもしたら?私もしてるし」
由美っぺは私を見て笑った。高校時代によく見た「由美っぺスマイル」で。ドーナツショップを出てから由美っぺは、私の手を引っ張って歩きだした。
「ね!良い所連れて行ってあげるよ。すごく気分転換になるよ」
「エ‥エエ‥どこ行くの?由美っぺ」
「いいからいいから!ついておいでよ。由美っぺに」