小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

私だって…

INDEX|4ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 


どれぐらい‥玄関マットの上で泣いてたのだろう。顔を上げた時には頭が痛かった。泣き過ぎて目も腫れてしまったようだ。エプロンで顔を軽く拭きながらキッチンに戻った。主婦の哀しい習性がまたここにも現れる。またスポンジを持って汚れた食器を洗い始めた私なのだ。また止めどなく涙が出て、その涙が水おけの中に落ちていく。
「私ってそんなにうざいの?顔も見たくないぐらい?誰の為に朝早く起きてご飯作ったり、洗濯してるの?部屋だっていつも綺麗にしているのは、帰って来たらくつろげる為でしょう?」泣きながら食器を洗った私だった。
また、哀しい習性で頭では何もしたくないと思っているのに、手は動き、掃除機を持って部屋の掃除機をかけ、無意識に冷蔵庫を開けていた。
「嫌ね‥こんな哀しい時も身体は動くんだから。情けないったら」
冷蔵庫の扉にオデコを当てて、また泣いてしまった私だった。その時だった。スカートを引っ張られた。愛犬のそら太だった。彼はつぶらな瞳で、私の顔を見つめてシッポ振った。

「ママ‥どうしたの?何で泣いてるの」
そら太の目が語りかけているようだった。
 私はかがんで、そら太を軽く抱きしめた。
「そら太‥ママはこのお家で必要ない人なのかな?萌ちゃんとパパはお手伝いさんが欲しいだけなのかな?ママ‥わからなくなちゃった」
 また、そら太を抱きしめて泣いてしまった私だった。 
作品名:私だって… 作家名:楓 美風