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私だって…

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温泉旅行は楽しく私は心身共にリフレッシュできた。また娘の萌もオリエンテーション合宿が楽しかったようだ。母娘でリラックスできたようで、また新たな気分で私は仕事に打ち込めた。離婚したが、離婚前より元気な私であった。離婚して1年が過ぎた。萌の努力が実りT大の獣医学部に合格したのだ。合格発表の時は私も一緒に見に行って、掲示板に受験番号を見つけた時は母娘で抱き合ってしまった。それぐらい嬉しかったのだ。また萌の頑張りに刺激を受けた私は、雅樹先生のアドバイスを受けながら絵を描いた。40歳にしてまた絵筆を握って絵を描く私がいた。学生時代に絵を描いたがまた気分が違う。目標があるからだろうか?雅樹先生は、私のキャンパスを覗きこんだ。
「絵変わったね!悪い意味じゃないよ。うちで初めて描いた絵はホワッとしてたけど、今の絵は加奈ちゃんの気持ちがしっかり見えるよ。いいと思う」
「ありがとうございます。嬉しいです‥私」自分でも顔が赤くなったのがわかった。
「うん。今度のXXX主催のコンクール出してみたら?加奈ちゃん」
「エェ‥XXX主催のですか?私には敷居が高いですよ」
「チャレンジ精神も大事だよ。萌ちゃんがいいケースでしょ!ね。やってみよう」
雅樹先生は、私の肩を軽く叩いて言った。

それから、私は今まで以上に絵に打ち込んだ。娘の萌も私を応援してくれた。獣医学部は実習で忙しいのに。家事もそら太の世話もよくしてくれた。離婚して萌に辛い想いをさせているのではないかと思う事があったが。
「全然辛くないよ。女同士のお気楽な生活は気を遣わなくていいし。名字が変わったからといって。私は何も変わらないもん!友達だって全然変わらないよ。萌は萌だし!」
と萌は言ってくれた‥

萌の応援もあって雅樹先生のサポートもあって私は絵を描き上げることができた。完成した時は涙が出た。学生時代も絵を描いたが、完成した時に涙が出ることはなかった。雅樹先生に完成した作品を見てもらって自分の手で搬入した。一つの作品を描き上げるのに長時間を要し、私のありったけの感情を絵に注いだのだ。入選しなくても悔いはない。絵が描き上がって気が緩んだのか、私は数日寝込んでしまった。
作品名:私だって… 作家名:楓 美風