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私だって…

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私の取った行動は調査会社の証拠写真と報告書・私が記録したノートを持って雅樹先生と都内の弁護士事務所に足を運んだ。この弁護士先生は雅樹先生の弟さんだった。またその先生は雅樹先生を「雅兄ちゃん」と呼んだのだ。雅樹先生の弟さん・裕樹先生は私に褒めてくれた。
「加奈子さん、コレすごいね。よく記録していましたね」
「ホンマ、几帳面加奈ちゃんだわ。家計簿の家族の予定欄に夫の休日出勤日その他書くかぁ?あぁ、コレはスゴイな‥裕樹先生!コレは大きいやろ」
夫の健吾がキャッシュカードで現金を引き出した時の日付・金額も家計簿の備考欄に記録していた私だ。またその通帳も一緒に持ってきたのだ。それに領収書数枚も。健吾は自分ではダストBOXに捨てた思っているが奥の方に落ちていて。私が掃除する時にソレらを拾ったのだ。それはホテル・レストランの領収書・映画のチケットの半券だった。 エリート社員で「チェック厳しい大崎課長」って言われてる健吾だけど、自分にはチェックが甘いようね。

1月の下旬に私と萌は玄関で健吾の帰りを待った。帰って来た健吾は、私と萌が揃って立っているのに驚いていて、顔を引きつらせていた。
「ど‥どーしたんだよ。いつも出迎えなんてナイじゃない。何だよ‥気味が悪い」
「健吾さん、お話があります」
「パパ‥私も聞きたい事があるの」と私と萌は健吾を睨んだ。

その夜、健吾はスポーツバックに身の周り品を持って家を出て行った。いや、萌と二人で家を追い出したのだ。ドアを閉める時に私と萌は言った。
「これからの事は、弁護士の福井裕樹先生を通して下さい。私達の意志は変わりませんので。もう逢いたくありません!顔も見たくありません。声も聴きたくありません」
「私も同じです!パパなんて大っ嫌い!顔も見たくないわ‥ママと二人で生きて行くからね。携帯の番号も変えたしメアドも変えたよ。バイバイ」

私達は健吾から聞きたい事を聞いて立ち上がった。次に取った行動は萌と二人で健吾の腕を取って、玄関まで引っ張って行って。萌が玄関のドアを開けた。私は萌にうなづいて2人で健吾の背中を手で押したのだ。ドアを閉める前に、スポーツバックと靴も一緒に投げてやった。夫の健吾は、茫然自失状態で突っ立ったままだった。

私は健吾の顔を見ずに、ドアを閉めて鍵をかけ、チェーンもした。
「あぁ‥おなか空いたね。怒ったら」
「うん!ママぁ!萌ピザ食べたいな。Lサイズでポテトも食べたい」
「はいはい!わかったわ」
コードレスを片手に持って笑った私だった。
作品名:私だって… 作家名:楓 美風