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私だって…

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覚えているだろうか?16歳の萌に私は相談した事を。その時は何を相談したかお話していませんでしたね。話をさかのぼる事になりますが。
「萌‥パパの事どう思ってる?」
まずソレを萌に聞いてみた。萌は私の顔を見て一呼吸置いてからうなづいた。
「パパ‥ウソだよね。休日出勤」
この娘わかってたんだ。そういう風に見てたんだな。
「いるんだね‥そういう人が」
「うん‥ママね。雅樹先生の所で働き始めたでしょ。それから色々と考えたのよ。考えて萌の考えも聞きたいの。いいかな?」
「うん‥話して」私の顔を見つめた萌だった。

事の始まりは萌が中等部2年生の夏休みだった。その頃から夫の健吾は休日でも「仕事」と言って家を出て行った。私は当初は休日出勤だと思っていた。どんなに忙しくても萌の誕生日は一緒に過ごしたのに、その年から不参加となった。今年の1月に決定的な事実が判明したのだ。私宛にA4判の封筒が届いたのだ。その封筒の送り主とは、調査会社だった。いわゆる探偵事務所だ‥

雅樹先生の教室に通い出して恒例のティータイムの時に、雅樹先生がウケを狙ったのか言ったことがあった。
「俺の美大時代の悪ダチに探偵がいます。イヤ今は調査会社してて所長ですが。何か探って欲しいことがあれば言って下さい。ダチのよしみで調査料金マケさせます」
私は笑いながらも、その言葉を頭にインプットしていた。私は雅樹先生にも正直に全部お話した。雅樹先生はビックリしていたが。私の顔を見て‥
「わっかりました!ダチのケツ叩きますよって。電話入れておきます」
雅樹先生はそれからすぐに、私の事を友達の調査会社に紹介してくれた。
 
封筒の中身を出して私は見た。まだ萌が学校から帰って来ていないのが幸いだった。予想した通りだった。夫の健吾の素行調査結果と写真10枚が入っていた。結婚して16年目でこんな写真を目にするとは思いもしなかった。薄々は女性の存在を感じていたが、やはり事実を突き付けられるとショックだった。写真には20代後半の女性とのデート風景や女性のマンションだろうか?玄関のドアを入って行く健吾の姿、またドアを出て女性に手を振っている健吾の姿が撮影されていた。そして、もう1枚の写真には、女性はどうやら妊娠しているようだ。膨らんだおなかに手にはベビーショップの袋が持たれていた。健吾の子だろうか?

私は冷静にならなければいけないと思った。私と萌との今後がかかっているのだ。キッチンで冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して一口飲んだ。そら太が自分も水が欲しいのか私の足にマウンティングしてきた。
「あぃあぃ‥そら太さん!そら太さん、悪い事したら怒ってもいいよね?ママと萌ちゃん全然悪くないよね?ママと萌ちゃん怒ってもいいよね」
また、そら太にこんな話しをする私も私だが‥
そら太はシッポをビュンビュン振って、舌を出して笑った。
「よし、ソレはしてもいいって事だよね。うん!決めた」
そら太の頭をなでた私だった。
作品名:私だって… 作家名:楓 美風