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遅くない、スタートライン 第3章

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第3章(6)
うち…駅前から7個もバス停あるのに。車にナビが装備されてるから、大丈夫だと言って私の荷物を車のリアシートに入れてくれたMASATO先生だった。家着くまでも、話題は尽きず車の中でも、私は笑いっぱなしだった。こんなに笑ったの久しぶりで、心の中も軽くなった。MASATO先生は玄関先まで荷物を運んでくれて、車の窓から「バイバイ」と言ってくれた。年齢もバレたし、出身も同じで近くの中学校だとわかったことで、すっかりフレンドリーになってしまったMASATO先生だ。私にもプライベートでは友達だからと言って、タメ口でいいよ!とか言ってたな。いいわけないでしょう?でも私も嬉しかったのは事実だ。

「美裕…この頃楽しそうね?」
神戸のお土産を姉の家に持って行った時に、言われた言葉だ。態度にも出てた?私…
「うん。行くところがあるし、勉強も楽しいし、3ケ月前の私はどこに行ったんでしょうかね?姉様」
「さぁ…消えたんじゃないの?いや…殻つきやぶったんじゃないの?」
「かもねぇ…あ、お姉ちゃん聞いてくれる?ちゃんと手続きしてきたよ」
「はいはい!聞きますよ」

姉は私の話を一言も口を挟まないで、最後まで聞いてくれた。
「美裕が決めたならそれでいいじゃない。現実問題…あなたこれからどうするの?」
「うん、今度は確実に力をつけてやってみたいんだ。以前みたいに途中で投げ出すの嫌だから」
姉は私の手を両手で、ギュッと握ってくれた。姉は昔から、私が決めたことに賛成だったら、手を握ってくれた。

「お父さんもお母さんもいいって言うわよ。神戸の事はそれでいいのね」
「うん。それでいい」私は姉の手を握り返した。


私は姉の家を出てから、駅に向かって歩いた。姉の家も駅前にあった。MASATO先生とは逆方向の東のマンションに住んでいた。
駅についた私は、スイカのチャージをした。神戸に行ってる間に定期の有効期限がきてしまったので、今から定期が買える主要駅に行くのだ。私の横にいた年配の女性が、スイカのチャージをするようだがうまくいかないようだ。私はチャージが終わったので、横にずれて女性に声をかけた。
「ありがとうございます。スイカなんて使ったことないのに、息子が便利だからって使えって言うんですの」
「使い方がわかったら、便利ですよ。小銭も要らないし…私は最近切符を買ったことがありません」
「慣れるとそうなりますかね?私も…キャッ」女性が声を上げた瞬間…衝撃音が辺りに響いた。

普通乗用車と軽自動車が接触事故を起こしたようだ…また、私の視界の中にはその交通事故に巻き込まれた自転車が目に入った。自転車はくの字に曲がり、乗っていた人は衝撃で飛ばされて反対側の道路に投げ飛ばされていた。

年配の女性は驚いたものの、私に話しかけてきたが…私は答えることができなかった。女性が私の腕を軽く引っ張ったが…私はそこから意識がなくなった。