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遅くない、スタートライン 第3章

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第3章(5)
俺と樹さんは電車の中でたくさん話ができた。ネタも満載で…俺の言葉にクスクスと笑い、
「ホントなんですか?」と口元を手で押さえ、笑いこらえてた樹さんだ。
「マジだよ…大マジさ!大御所の先生だって同じさ!だから俺もやっていいんだ」
その俺の言葉に、もう笑いを堪えきれなくて、樹さんは俺の腕をバシバシ叩いて俺の腕に頭をつけて笑った。
「そんなウケたん?そんなおかしかったん?」俺はツイ地元言葉でしゃべってしまった。
「は…はい。え…その言葉は、神戸弁ですか?」
「うん。あぁ…俺プロフィール書いてなかったよな。うん…神戸市出身だ!あ…神戸と言えば」
「そうなんですかぁ!そうですそうです!私…神戸に行った帰りなんです。あ…私も神戸市出身です」
「うそぉ!!マジで?俺と同郷なの?神戸市のどこぉ?」俺は電車の中だと言うのに、大声を出してしまった。
「私は東灘です。先生は?」(電車の中だから、名称言わないでくれた樹さんだ)
「俺も東灘…えぇ…失礼だけど俺と年変わらんでしょ?俺もうすぐ31歳やけど」
「イエイエ…私の方が年上ですよ。もうすぐ31歳って…あぁじゃ、同じ年だけど、私の方が学年上です」
俺は指を折ってカウントした。
「俺は4月4日生まれ…樹さんは?」
「私…3月30日生まれですよ」
「っちくしょぉ!後5日早く生まれてたら、同学年やったのに!東灘も学校ようさんあるから、同じ中学とは思えないけど。耳貸して」
俺は樹さんの耳元で中学名を言った。
「ほ、ホント?それ…その中学なら練習試合何回も行ったわ。えぇ…クラブは何に入ってましたの?」
「えぇ…俺バスケぇ!樹さんは?」
「私…軟式テニスです。体育館とコートじゃ会わないか」
「いやぁ…おうてるかも!うわぁ…これ運命の出会いか?」
「な、なに言ってるんですかぁ。先生」ちょっと赤くなった樹さんだった。

またこれも偶然か、神さんのいたずらか?
「樹さん…どこで降りるの?俺は次の小野寺やけど」
「お、小野寺?私もです…先生は南口ですか?」
「ううん、西口やけど…樹さんは南口なん?」
「……西口です」俺はこの答えにマジで驚いた。
何で今まで逢わなかったんだ?俺達…

改札を出てから、その答えがわかった。俺は駅前のマンション…樹さんは信号を渡り、バスに乗って帰るそうだ。
「そりゃ…逢わないわ。俺そこのバス停利用したことないもん」
「普段お車でしょう?利用しませんよね」
「うん。でも都心渋滞するから、都心行くのは公共機関だよ。車は街乗りさ…ガソリン代もったいない」
その答えに樹さんは、また下を向いて笑った。

「あぁ…その荷物でバス乗るの大変でしょ?良ければ送るよ…」とMASATO先生は言った。