遅くない、スタートライン 第2章
第2章(2)
学校長と副校長が先に講義室に入ってきた。
学校長が私たち生徒の顔を見た。
「突然で申し訳ない!今日の講義でみなさんにご紹介したい方がいます」
今度は副校長が、講義室のドアを開けた。
副校長はドアの向こう側にいる人物に軽くうなづいたようだ。
もう…教室中大騒ぎである。私も名前を聞いて驚いてしまった。
こんなところで逢えるなんて!!
横の席の生徒は胸の前で、手を組んで体が震えている。
他の生徒も、瞳がキラキラしていた。私も同様の状態だった。
その人物とは…
「こんにちわ!!みなさん!!」とその人物が私たちに挨拶をした。
私たちは一瞬カタまったが、みんな声を合わせたかのように挨拶をした。
「こんにちわ!!MASATOさん!!」
そうなんです!!あの MASATOさんが臨時講義にやってきたのだ。
そりゃ…みんな驚くって!あのジワジワ売れているあの人と言えば、
MASATOさん!最近ではかもめ本の続刊とエッセイも大人気だ。
2冊とももちろん買って、読んだ私だ。
学校長がマイクを持って、MASATOさんの横に立った。
「今、言葉の男神といえば!このMASATOさん!実はここのスクール第1期生なんだ」
この言葉に、また教室中で声がこだました。
「そうなんです。この学校長と副校長の胃痛の原因を作っていたのは、99%私です」
の声に、生徒たちは大笑いした。
あぁ…ここで紹介しておこう。
私が通っているところは…文筆家や小説家やエッセイストなど養成スクールだ。
また1Fでカフェスクールも経営している。XXX市に行ったときに、ショップの
ウィンドウにポスターが貼ってあったんだ。またそのポスターが印象的だった。
MASATOさんがそのポスターを作ったことと、月に2回ほど、
文筆家スクールの臨時講師として就任することになったことを
学校長が話した。
これは神様からのプレゼントかな?
あの大好きなかもめ本の MASATOさんの講義が受けれるなんて。
私は帰りの電車の中も本で顔を隠しながら帰った。
だって、嬉しくて嬉しくて口元が緩んでいたから。
作品名:遅くない、スタートライン 第2章 作家名:楓 美風