遅くない、スタートライン
第1章(3)
かもめ本を毎日1章ごとに読む日が私の日課となった。
朝起きて、ベッドの中で読むのだ。かもめ本を読んでから、
ベッドの中でゆっくり手足を伸ばし、大きく深呼吸する。
そうすると、ベッドから起きやすくなる。
また、これもかもめ本の受け売りだが、
「すぐ起きるのではなく、体と頭を少しずつ起こすこと」と書いていた。
確かにそうだと思った。以前の私ならアラームが鳴った途端に起き上がっては
床に足を下した途端にふらついたりしたな。
私はこれを「ベット体操」と名付けて、毎日行うようになった。
また、かもめ本を読んでるうちに他の作品も読みたくなったのだ。
でもうちには…ネット環境がなかった。いや…まだ整っていなかった。
姉に相談してみたら、調べてくれると…その日のうちに姉が家にやってきた。
姉は私がベッドの中から出て、パジャマではなくジーンズにカットソーを着ている
ことに驚いていたが、回復の兆しと思い喜んでくれた。
また、タブレットの操作が慣れてること。
「進んでるね!お姉ちゃん…タブレット持ってるなんて」
「でしょう。なんてね…お年頃のせいか、携帯の画面は小さくて見にくいの」
人差し指を起用に動かして、MASATOさんの公式ホームページも見せてくれた。
「どういう風の吹き回し?私が何度も言ったのにね」姉が言った。
あぁ…私がベッドから出てきたから?
「お姉ちゃんが持ってきてくれた本のおかげだよ。あの本をどうして選んだの?」
どうしてMASATOさんの本を選んだか、聞いてみたいと思ってた。
姉はちょっと視線を天井に向けて、考えてる風だった。
作品名:遅くない、スタートライン 作家名:楓 美風