遅くない、スタートライン
(第1章)(1)
かもめの二羽の表紙が、それほど私を惹きつけたのだろうか?いや、かもめもそうだけど。
表紙をめくった次のページの文章に、私の心と眼が掴まれてしまった。
今の私にとって、その文章は胸に突き刺さる…
いや、求めていた答えかもしれない。
衝撃的だった。一瞬にして体中に電流が走ったようだった。
衝撃を受けた文章はこれだった。
自分を変える?変えたくない?答えを出すのは自分しかいない。
この文章を見た途端、体中に電流が突き抜け、
また文章が頭の中をグルグルと回転し、段々と頭の中で文字が大きくなった。
気がついたら、私は荒い呼吸でベッドの下でうずくまって、こうつぶやいた。
「……だよね。そうだよね」と自らを納得させていた。
翌朝の事だ。随分と久しぶりに、すずめの鳴く声で目が覚めた。
カーテンの隙間から朝の光が部屋に射し込んでいた。
「……今、何時だろうか?朝だよね?」
サイドテーブルの時計を見た私だ。時間は午前7時を過ぎたところだった。
いつもなら、寝る前に眠剤を飲みお昼前まで寝ているのだが。
昨日は眠剤を飲まずに眠った。寝れるかどうか心配だったが、
枕に顔をつけ眼を閉じたら、吸い込まれるように眠った私だった。
作品名:遅くない、スタートライン 作家名:楓 美風