②銀の女王と金の太陽、星の空
ただ、その瞳は悲しみに満ちていた。
「ただ、聖華の件については、私も責任の一端を担っている。」
ハスキーな声にふり返ると、銀河が口の端を引き結んで立っていた。
「『妾腹』と日常的に蔑んだのは、私だ。」
そして将軍を見る。
「父上、私も太陽と同罪です。」
すると、将軍は小さく頷いた。
「それならば私も、太陽や涼を庇ってやれなかったことから、同罪だな。」
銀河は、将軍に担がれた太陽を見上げると、優しくその頭を撫でる。
「おかげで、涼をあんな目に遭わせてしまった…。」
「あんな目?」
私は首を傾げて将軍を見た。
(そういえば、涼は突然、太陽を残して城を去った。)
将軍は私から目を逸らすと、歯を食いしばった。
「そのことについては、またゆっくり話す。」
銀河が将軍の隣に立って、静かにこちらを見る。
そして二人で私に向き合うと、深々と頭を下げて部屋を出て行った。
静かに閉まる扉をジッと見つめていると、空が私の肩をポンッと叩く。
「太陽が目覚めたら尋問が始まると思うけど、女王も立ち合う?」
すぐに返事できない私に、空はその切れ長の瞳を三日月にしながら距離を取る。
「今回はさておき、太陽が真犯人とは思えないんだけどなー。」
(え?)
気がつくと空は扉に手をかけ、開けようとしていた。
「それを引き出せるのは、女王だけなんじゃない?
たぶん、太陽は真犯人を庇うと思うから。」
そして扉を開けながら、私を手招く。
「灯り、消すよ。」
言い終わらないうちに、灯りが消える。
私は慌てて扉へ向かった。
作品名:②銀の女王と金の太陽、星の空 作家名:しずか