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陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

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1章,平和の中で



 僕の名前は倉井拓郎。
 この春から国際北甲大学の獣医学部に入る事になった大学生だ。
 子供の頃から動物が好きで、怪我をした動物を手当てしたのがきっかけで獣医を目指す事になった。
 スクーターを駐輪場に止めると大急ぎで講義室へ向かった。
 絵にかいた様な階段教室の前の席に座って僕は項垂れた。
「はぁ、何とか間に合ったな……」
「よう、卓郎」
 そこへ2人の男がやってきた。
 1人は色黒で背が高くてがっちりとした体格で茶色に染めた短い髪と耳にピアス、首から下は黒いシャツに首からネックレスと黒いズボンの、まさに今時の男と言った感じの象潟大介(きさかた・だいすけ)。
 彼はこの学校に入ってから出来た友人で、普段から良く遊びに出掛けたり食事をしたりしていた。
「レポートやって来たか?」
「ああ、夜中までかかったよ、ホントに大変だった」
「全く、教授も無茶言うよ…… おまけに人使い荒いし」
「でも腕は良いよ、あの人のやり方は参考になる」
「お前は良いよな、成績は良いし、おまけに彼女だっているんだし」
「な、別にそれは……」
 僕は息をのみながら窓の方を見た。
 前から3番目の席に1人の女子大生が座って2人の友達と話しているのを見た。
 黒いストレート・ヘアに赤い縁取り眼鏡と言う少し地味目の彼女の名前は『佐伯小春』さん、彼女も獣医を目指していて今年の春からこの大学に入学した。
 元々中学の頃に飼育当番で知り合い、お互い獣医を目指している事もあり、高校に入学したのをきっかけに交際を始めた。
 今は立ち直ったから良いけど、先輩の手前、数年前まではあまりその事は口に出さなかった。