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女の舞台、序破急

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女が喜ぶ。男は女がこういうホテルをよく利用しているのではないかと想像した。それはそれでよい、つきやすい女かも知れない。
手を乳房にまわして、下から包み込む。
「やわらかい」
「小さいから」
「ちょうど、手に入るね」
男はほめた。男のするに任せる雰囲気だ。この貴重な機会を大切にしてゆっくりと楽しもう、お風呂ではおとなしくするつもりだ。それでも、思わず手を伸ばして、花芯をなぞって
「あいさつしとこ」
「へんなの」
「脱毛してるの」
「剃ってるのよ」
「へええ、そうなんか、興奮するな」
「脇は脱毛、もう女の子の常識よ、初歩の初歩」
「そうなんか」
「脱毛はね、女の最初の投資」
「腋毛はそうやろ、でもここは」
男が毛のない花芯をなでる。
「いろいろ事情があるの」
「彼の趣味なん」
男が問い詰める。
「そうよ、毛がないほうが、舐めやすいって」
女はあっさり、話題の核心に触れた。
「ふーん」
男は深く嫉妬した。女の恋人かだれかにではなく、その誰かがいるのに、こうして体を重ねている女の多重性、多義性に。
女が先に出て、歯磨きをしている。女の準備には驚かされた。初めての男への礼儀か、自衛か、わからないが、男も女に見習って、歯を磨いた。

女はバスロープを巻いて、ソファーで横になっている。
男の方を向いて、視線を絡ませる。ホテルに入って初めて、男は女の体を観察する。伸びている足はほっそりしていて、ハイヒールが似合う。
男が足をほめる。女は心地よい。言葉は手軽な媚薬である。
女は男の態度に満足して微笑む。
「したかったんでしょ、わたしと」
女は自信満々に、告げる。遊んでいるに違いない、飲んでいる時のキャリア女性のあの雰囲気は、もはやない。
「やっと実現」
男は笑いながらお世辞を言ってその場を取り繕った。しかし女がセックスの初動の局面をリードしようとするつもりであることはわかった。それはそれでいいと思った。
女は顔をのけぞって見せ、両手を上げて体をのばし無防備なポーズをつくって、男を挑発する。
足も胸も丸見えになっている。

女の舞台、序

男はベッドに移動して、女を待つ。
女は裸になって男の左側に入ってきた。男は女の上に重なった。
手順を踏んで口づけしたら、女はすぐに濃厚なキスを返してきて、キスが繰り返された。
男も女に応えて、情熱的で激しいキスを楽しんだ。若い女性の口腔を味わい尽くし、もうすっかり恋人気分である。
唇で感触を味わった後、自然な動きで、女は体を回していき男の上になると、男根に唇を絡ませた。女の舐め方は洗練されていた。
女が舐めると、女の過去に思いがおよび、だれでも嫉妬心が起き上がり。興奮する。
「すごくいい」
男は女にアピールした。これはほめるべきだと直感した。この女はただ者ではない、男性遍歴を想像して、男は体の芯が熱くなった。

「舐めさせて」
男があいさつすると
「なめる、なめるの」
「なめる、なめる」
女はゆっくりと足を開いた。
「剃ってるのやな」
男は女に言葉を投げた。バスの会話を再開した。女の毛は、丘のあたりは残されているが、花芯の周囲は剃られていた。
「毛のない方がね、なにかとつごうがいいんです」
「どこがいいんやろうか」
「私、自転車に乗るでしょ、琵琶湖一周とかするの、毛がない方がいいのよ」
「刺激されて、こまるんちゃうか」
「まああ、どうして男はそういう発想するんですかね、女がいつも発情するわけないでしょ」
女は気分をぶち壊すように、バスルームとは別の抗弁をしたので、男は毛のない論争を打ち切った。打ち切ったが男性の影を感じ取らないわけにはいかなかった。男性の詮索は棚上げし、そのことは口には出さなかった。雰囲気をこわすと思ったからだ。
男は毛のない周囲を舐めまわした。時々、はえ始めた毛があり、その感触も楽しんだ。脱毛ではないようだから、たしかに剃毛はセックスとはことなる場面、場面のことかもしれない。
舐めると
「ああ、ああ」
女は異常な興奮を表したが、ちょっと早すぎると、不信感も芽生えた。素人とは思えない。男はまだ落ち着いていたから、女の変化に納得できなかったのだ。
女は朝、彼氏と交わっていたから、毛を剃ったところの感覚がいつもと違うようなのだ。それは決して言えない。
男は、よくわからないまま、女の変化をさらに促そうと、舐め続けたら
「いいわ、いい、やさしいのね、あなた」
女がため息をつくように、男に声をかけた。男は女の言葉に満足した。

女の舞台、破

互いに舐めあって、段取りは整った。
男は花芯の入り口に男根を充てた。
「ダメ、ゴムをして」
女は抗った。叫んでいる。
「入り口だけ、楽しませて、入り口だけで」
「いやあ、いやあ」
涙を流すような表情だ。
男はしかし、入り口に充てたまま、動きを止めて女の緩解を待っている。男の自制が続く。
しばらくして女は
「ほんとに、入り口だけよ、絶対」
女は断固たる態度だった。
ゴム、と明確に断言するところは、経験豊富なことを思わせる。
「入り口だけでええ」
男は弁解する。女が男の提案を受け入れたことには喜んだ。
入り口でじっとしていると、女が腰を回転するように動かし始めた。
「腰、使ってんのか」
「わかりません」
しかし、腰が動いている。男根を軸にして円を描いて動いている。
「口で舐めるの、うまかった、下の口で舐めてんのか」
男がなじる。
「そうです、舐めてます」
女がすなおに応じる。
「いいか」
「いいです、入り口がこんなに感じるって、初めてです」
男は女がすなおに表現してきたので、いっそう自信を深め、女を好ましく思った。体が合っている、交情しているのだ。
「後から、スキンしたら、奥まで入れたげる」
「奥まで入れてね」
女の意思をたしかめると、体を離して、再び花芯を舐めた。
「いい、いい」
深い感覚を表明した。
舐めながら指を入れた、まもなく
「いく、いく」
と女がため息をつくように声を上げた。そして、女性自身がたしかに収縮した。
「いったんか」
「いった」
女の変化が徹底的になると、男はこの後の場面設定を思案した。このまま、ゴムをつけて挿入するのは単純すぎる。もう少し快楽を味あわねば。
「一休みしようか」
女はかぶりを振った、ダメダメと言ってる。
この男の精を汲みつくしたくなった。

連休の後半の休日の朝、女のマンションを恋人が訪ねてきた。鍵を交換しているから、好きな時間にやってくることができる。ドアを開ける音がして、体が眠り込んでいるのに、頭が目覚めて、恋人を迎える。
まだ、体が寝ている、頭だけで男性を受け入れる。濡れてないのに、かまわず挿入して射精すると、ベルトを締める音がして、もう身づくろいを始めているのが分かった。いつもはゆっくりして、お昼を一緒に食べるのに、予定があると出かけてしまった。女は裸のまま、布団の中から見送った。体のあちこちがひりひりしてくる。布団の外に出てしまい、床の上で交わったからだ。まるで犯されているようだった。
恋人はいつもこうだった。必ずスキンを使った。それは女も歓迎するべきことだったが。
作品名:女の舞台、序破急 作家名:広小路博