EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「二日連続でスペシャルてことは、昨日のお返しにおごってもらってるな」
恵美莉は赤面した。
「菅生さんは、カレーに味噌汁ですか?」
「無料だから、ライスも大盛り」
「水も飲みまくれば? もう、あっち行ってください」
「二日連続で、俺と食うのはイヤ?」
「そういう意味じゃないですけど」
「はいはい。でも二日連続でノッポの彼氏もいないね」
そう言って、春樹は、立ち去った。
「なによ、恵美莉。彼、背低いけどカッコいいじゃない」
「どこがよ」
恵美莉は髪をかき上げ、春樹を眼で追って、友人のいる窓際の席に着くのを見届けた。
「あ、小峠先輩」
みのりが小声で言った。恵美莉は振り向いて、みのりが見ている方向をもう一度見ると、春樹の前の窓際には、昨日と同じ二人が座っている。
「あの友達知ってるの?」
「うん、一人は剣道の先輩」
みのりは剣道部だった。
「じゃ、菅生君は何部か知ってる?」
「彼は知らない。 先輩に紹介してもらおうかな」
「あんた彼氏いるでしょ」
「昨日ケンカしたのー。別れよっかな?」
「ええー。そんな簡単に」
「恵美莉と颯介君ほど、深い付き合いじゃないし。もういいかと思うわ」
「声、でか」
恵美莉は周囲を気にして、
「じゃ、先輩に合コンでも誘ってみてくれる?」
「あれ? 乗り気じゃん。二人とも菅生君狙いになっちゃ、まずいでしょ」
「じゃ、もう一人余ってるよ」
小峠先輩の隣に座る男子を見た。
「あれも、いいかもね」
みのりは、ニヤけてそう言った。
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)