小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

EMIRI どんなに素敵な昨日でも

INDEX|7ページ/40ページ|

次のページ前のページ
 

「“川崎恵美莉”って、聴講カードに書いてただろ」
「見てたんですか」
「名前も知らない他人に、おごってもらう訳にはいかないからな」
「それ、順序が違う気が」

 恵美莉は思いがけず、彼の友人達と同席してしまった。
「おごってもらってんのかよ。スペシャルじゃん」
「何か弱みでも握られたの?」
「いえ、ほんのお礼です」
「そうそう」
「何のお礼?」
「大したことでは」
「川崎さん、何学部?」
「国コミュの2回生です」
「へえ。スゲーじゃん。高偏差値」
「そんな、別に・・・、皆さんは?」
「国文の3回。でも、俺ら全員一浪組だから、2歳上かな」
右隣の彼が答えた。

 その後は恵美莉は話をせず、なるべく髪の毛で顔を隠しながら、彼らの話を聞き流して食事を終えた。

「じゃ、あたしそろそろ行きます」
「ああ、ご馳走様」
 恵美莉は立ち上がり、トレーを抱えながら、
「あの、名前は、何て言うんですか?」
「やっと、聞いてくれた」
「すみません。タイミングが掴めなくって」
「菅生春樹、俺に興味持った?」
「いいえ、名前を知ったんで、今度おごってもらいます」

 恵美莉は髪をかき上げ、そそくさと立ち去った。