EMIRI どんなに素敵な昨日でも
「やめとく?」
「200円カレーにしようかな」
「じゃ、かわいそうだから、味噌汁おごってやるよ」
「味噌汁はタダです」
「ライスも大盛りにしていいよ」
「大盛りもタダ!」
「水は飲みほうだぃ…」
「スペシャル食べます!」
二人はトレーに料理を載せた後、恵美莉がプリペイドカードを2回通して、溜息をついた。
「サンキュな」
彼はそう言って歩き出した。恵美莉は何も言わず、その後を付いて行った。
彼は混雑する周囲を見渡しながら、窓際の空席を目指して歩いた。二席の空席の右側に彼は座ったので、恵美莉は(隣同士に座るのは変かな?)と思いながらも、そこしか空いていないので仕方なく座りかけた時、
「オッス。彼女だれ?」
向かいの席の男子が隣の彼に言った。更に恵美莉の左側の学生も、
「紹介しろよ」
と右隣の彼に言った。
スペシャルランチをおごってもらった彼は、席に着いた恵美莉の方を向いて、
「あれ? オタクも一緒に食うの?」
「え? あ?(赤面)」
「彼女、川崎さん」
「いっ! なんで名前知ってるんですか?」
作品名:EMIRI どんなに素敵な昨日でも 作家名:亨利(ヘンリー)