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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI どんなに素敵な昨日でも

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「え? えぇ、まあ」
「あれあれ? ケンカ中とか?」
「そうじゃないです!」
「そうなの? オタクが一人でいるとこ、ほとんど見たことないけどね」
「なんでそんなこと知ってるんですか? あたしはあんたに興味ないですよ」
「あれ? もうフッテル?」
「いえ、そういう意味ではありません!」
「雨」
「え?」
「雨降って来た」
「…あ」
(なんだ雨のことか、恥ずかし)思わずうつむいた。

 その時、彼は走り出した。周囲の学生も一斉に早足になったので、恵美莉は一瞬、取り残された。急いで彼の後を追ったけど、階段で人ごみに阻まれ見失ってしまった。
 食堂に着いて周囲を見渡すと、トレーを持って並ぶ列の中に彼がいた。
「こっちこっち」
手招きする彼。戸惑いながら、恵美莉もトレーを持って、先に並ぶ学生に頭を下げて追い越し、彼の後ろに入った。

「スペシャルなんて、食べたことないんじゃないの?」
「どうしてそう思うの?」
「講堂から一目散じゃないですか。めちゃくちゃ早く走ってたし」
「へへ、そんなことないよ、結構食べる」
「本当ですか? 顔ニヤけてますよ」
「ヒヒヒ、今日のメニューは、和牛ビーフカツか」
「うわっ、おいしそうですね」
「オタクもスペシャル食べる?」
「ランチが1000円オーバーになってしまう」